漫画ファンのみならず、漫画を読まない人たちでさえ、この作品を知らない人はいないはず。と言っても過言ではないほどのメガヒット作が、1983年集英社の週刊少年ジャンプに誕生した。それが武論尊先生と原哲夫先生のコンビが生み出した世紀末アクション巨編『北斗の拳』。作品の誕生から20年近い時間が経過した今もなお新たなファンを生み出し続けている『北斗の拳』は、いかにして私たちの前に登場したのか? 武論尊先生のお話をお楽しみください。

(取材日/2003.12.22 写真/練馬高野台、自宅の書斎にて)

●『北斗の拳』の連載のきっかけは?

【編集メモ】

*『北斗の拳』1983(S58)年41号〜1988(S63)年35号 集英社 週刊少年ジャンプ 漫画/原哲夫

1983年。
原(哲夫)先生がね、
『北斗の拳』というタイトルの読み切りを描いたの。
拳法使いの主人公が、北斗神拳を使って悪を倒すっていう…。
で、それをジャンプが連載したいって言うんだけど…、
連載にするときに、新人だし一人じゃ無理だと、
ストーリー作る段階で…。

で、原作を付けなきゃいけないっていうことで、
何人かの原作者に頼んだらしいんだ。
それがどうしてもうまくいかないってんで、
最後の最後になぜか俺のところへ回って来たんだよ。
原作やりませんかって。

そのときの話、俺は知らなかったんだけど、あとで聞くと、
武論尊だったら、あいつプライドがないから、
そういう話でもやるかも知れないって(笑)。
西村さん(第3回目参照)がなんか言ったらしいんだよ。
いや、プライドの問題じゃないかもしれないけど、
西村さんは、武論尊だったらそんなのはこだわらないで
引き受けてくれるかも知れないから行ってみろって言って、
担当の編集が来たのさ。
その読み切りを見たら面白そうだから、
じゃあ、いいよって…、
うん、そういう形で連載やることになった。

でも、あとで聞いたら、
原先生は武論尊は嫌だったらしいんだよね(笑)。
ドーベルマン刑事』のあと、俺外れまくってたからな。
当たってないから、嫌だって思ったらしいんだ、内心は。

(そのころはヤンマガで『酎ハイれもん』、
  増刊サンデーで『ファントム無頼』やっていたころですが…)


そう? 外れてないじゃん、俺。
あらら、原先生も失礼だね…、いい仕事やってるのに(笑)。

(ジャンプでは『マッドドッグ』が終わったころです)

ジャンプでは外れてたってことかな?
ジャンプで泣かず飛ばずだったから、
原先生としてはあんまり乗り気じゃなかったみたいね。
でも、それをあとで聞いたとき、俺、結構ムッとしたからな(笑)。

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