「持ち込みで大事なこと」
○編集者はどう作品を見るの?
取りあえず僕が持ち込みを見る時、意識していることは「誉める所は徹底して誉めまくること」、その代わり「悪い所も徹底的に言うこと」です。そしてなぜそうなったのか、聞き出して漫画作製上のアドバイスをする。今見てる作品に対しての意見も大事なのですが、むしろ次の作品に生かして欲しいという部分がこちらの気持ちとしては大きいのです。「こいつはスゲー、即デビューじゃ!」という作品もなくはないですが、滅多にありません。というわけなので、必然的に次に描く作品のためのアドバイスになっていきますよね。
少女漫画誌や女性漫画誌には、新人賞だけでなく、新人育成のための「セミ ナー」とか「スクール」みたいな企画をやっている所が多いです。理由としては才能のありそうな人を育てて、雑誌の戦力になっていくケースが多いからだと思います。新人賞だけで来るのを待っているよりも、才能のある人を 探せる状況を作っているのです。
○持ち込みで投稿者が見るべきポイント
そういう感じで編集の方は見ていることを前提として、持ち込みで大事な 事は、「自分がこの先、漫画を描いていく上で、自分のためになりそうな編集部を探す」ということです。と同時に「人に見てもらうことで客観的な意見を聞く」ことです。
作品を見ていろいろ意見を言ってくれたり、漫画を描く上で参考になりそうなことを言ってくれたり、厳しいことをガンガン言ってくれたり、そういうことを通して自分の作品を真面目に考えてくれる所を探すことです。「ここは信用できる」という編集部が見つかったら、がんばってみる。
また人に見てもらい、客観的な意見を聞く事も大事。実はこれ、正直に批評してくれる人がいれば、編集者でなくても効果はあります。編集者はその作品のどこが悪いのか、分析してアドバイスします。より具体的に「こうしたらより良くなるんじゃない?」と言うでしょう。例えばお姉ちゃんに見てもらうとどうでしょうか? もっと単純に面白いかどうかとか、話が分かるとかそういう単純な所で意見を言うはずです。編集者はプロとしての意見を言います。例えばの例であげた「お姉ちゃん」は読者の目線のはず。「人に見せてみること」というのは持ち込み以外でもできることなので、試して見てください。
持ち込まれる編集者も、憎くてきついことをいうわけではありません。よりいい作品を作って欲しいから言うのです。1回目でいくつか違う編集部に持ち込むことを勧めるのは、そのためです。いい加減なことを言う人もいますし、ボロボロにけなす人もいます。その中で、自分にとって一番いい編集部を探してください。「この人の意見なら参考になる」、「自分の成長につながる」、そういう編集部を自分の目で判断しましょう。
【女性誌編集者・O/2004年5月】
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