【質問と解答】

Q:「某マンガ雑誌で賞をとって担当の編集者の方もつき、アシスタントも紹介していただきました。しかし、自分は他の雑誌にも持ち込みたいと思い始め、悩んでいます‥‥」

　メールではなぜ他の雑誌に持ち込みたいのか詳しい事情がわからないのですが、自分の作風が今持ち込んでる雑誌に合ってないと感じたり担当編集とうまくいってないのでしたら、他の雑誌に持ち込むのもひとつの手です。
　ただ、その前に担当編集とよく話し合ってみることをおすすめします。雑誌でのあなたの評価と期待度、デビューや連載に至るまでに自分が踏まねばならないステップ、自分自身の作品の方向性についての悩み等、あなたのことを考えてくれる担当ならそれに答えてくれるでしょうし、最終的にあなたが他の雑誌に移るという結論に達したときでも、合った雑誌を紹介してくれることもあります。逆に全く相談に乗ってくれないような担当なら、さっさと別の雑誌に持ち込んだほうが賢明です。
　しかし、さしたる理由がなく、他の雑誌で評価を聞いてみたい程度の気持ちでの持ち込みはやめておいたほうがいいでしょう。担当としてもいい気持ちはしないですし、「浮気」ととられても仕方がありません。それに、複数の編集部に持ち込んでると、同時に複数のネームをすすめざるをえなくなって集中できなくなったり、持ち込みの間隔があいて雑誌のあなたへの期待が薄らいだりと、いいことがありません。もちろん、同じネームを複数の編集部に持ち込むのはタブーです。今の雑誌や担当に特に不満がないなら、新人のうちはひとところで集中して作品にとりくむべきです。
　ところであなたが一番心配しているらしい編集長の会議ですが、同じ出版社の編集長の会議は確かにありますが、連載もしていない新人クラスの話題が上るようなことはありませんし、仮にあなたが話題に出るほどの名のある新人でもよほど編集部に迷惑をかけていない限り他誌持ち込みが理由で干されるようなことはありません。ですが、同じ出版社内では編集同士の横のつながりがありますから浮気は遅かれ早かればれます。他の出版社への持ち込みは雑誌に掲載されない限りばれる可能性は少ないですが、あらかじめ正直に担当に話しておいたほうが気まずくならないですむのではないでしょうか。
　ある雑誌で伸び悩んでる新人が、別の雑誌で人気作家になったりすることはよくあることです。雑誌の傾向や読者層の違い、担当編集の力量や相性によって飛躍的に伸びることもあります。ですから別の雑誌に持ち込むこと自体は悪いことではありません。しかし、単なる「浮気」にならないよう、自分の作品傾向と雑誌での位置づけをよく考え、できれば現在の担当ともよく話し合って結論を出しましょう。
　さらなる相談をお望みでしたら、次回は他誌に持ち込みたい理由を詳しく書いてきてください

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