【質問と解答】
Q: 私は少女漫画家志望で、某少女誌で代原で一度デビューし、現在は違う少女誌で担当さんが付いてくださり、デビューを目指して頑張っています。自分でも判っている事なのですが、絵に関してはプロでも十分通用すると言われているのですが、いかんせんストーリーが巧く作れないんです。最近ではプロットの段階からネームに進めず、このままもうデビューすらできないのではないかと思ってしまう始末です。担当さんから、参考になる御本を頂いたり自分でも映画や小説でストーリーを勉強してはいますが、何だかドツボにハマっているようで、近頃は担当さんも呆れておられる様子です。
自分には話を作る才能がないのでは、と思ってしまったり(話を考えるのは大好きなのです…)かなり悔しくなります。
どうすれば話を巧く作れるのでしょうか。
本当に巧くなりたいんです、アドバイスを頂ければ幸いです。
A:あなたと同じ悩みを持っている人は大勢います。ストーリーが作れないという人は、次のように大別されるかと思います。
1.何を描いたらいいのかわからない。
2.描きたい話はあるが、うまくまとまらない。
3.どう描き始めていいのか悩んで投げ出してしまう。
1の場合、まず「ネタ帳」を作りましょう。興味を引いたニュース、感動した事、友達から聞いた笑い話、本を読んだり映画・テレビドラマを観て面白かった設定や内容、興味深いうんちく、話題の新製品、流行グッズ、昨夜見た夢の内容などなど、忘れないうちに(できればその場で)書き留めておくのです。これが習慣になると、常に「これはマンガのネタに使えるんじゃないか」という姿勢で日常を送るようになり、自然と観察力と集中力が身につきます。
実際のストーリー作りにおいては、「三題噺」の要領でネタ帳の項目を複数組み合わせる事により、思いがけない発想を生むきっかけになります。 また、 エピソードのストックも豊富になるでしょう。
2の場合、構成力に難があるという事でしょうか。小説や脚本の書き方の本をいくつか読んでみてください。ジャンルは違っても同じクリエイターの先達の工夫は参考になります。
実地においては、最初から長編のプロットを考えず、16pの短い一幕物から始めましょう。その際、「起承転結」を意識して構成するようにし てください。
3の場合、ストーリーの頭からではなく、描きたいシーンから描き始めてみましょう。そして、そこに持って行くにはどういう展開をとればいいか、そこからラストへどう収めるか、と前後を埋めていきます。とにかく1話描き上げる事が大事です。
ストーリーやキャラクターを一から組み立てるのが苦手ならば、骨組みを外に求めるのも手です。古典などを換骨奪胎して、自らのものとして再生するのです。マンガや文学、映像作品には、そのようにして生まれた傑作も多くあります。ただし、盗作になってしまわないよう、担当編集によく指導してもらってください。
また、自分は絵を描く事が好きなのであって、オリジナルのストーリーを作る事には興味がないと割り切る作家もいます。そうした場合、多くは編集者が原作者と組ませますが、友人同士やあるいは恋人同士、夫婦で原作・作画のコンビを組む場合もあります。原作者と作画家の2人がひとつのペンネームで仕事をしているプロの方も何人か知っています。また、あなたの好きな小説のマンガ化というのはいかがですか。もちろん、相手がいる事なので、担当編集に企画を通した上で小説の作者の了解が必要ですが。とにかく、一からのストーリー作りがどうしてもできない場合でも、まだまだ選択肢はありますので、よく考えてみてください。
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