【質問と解答】
Q:単行本で累計1000万部突破!とか一億部突破などをよく見かけますが、出版社によって売上部数が違っていると思います。(マンガによって違いがあるとは思いますが)やっぱり大手出版社で出版した方が単行本は売れるのでしょうか?
A:大手出版社というよりも、部数の大きい雑誌のほうがヒット作が出やすいのは事実です。これは単純に作品宣伝力の差という面もあります。雑誌というのは、ある意味単行本の最大の宣伝媒体といえます。実売10万部の雑誌の掲載作には10万人しか読者がいませんが、実売100万部の雑誌の掲載作には最低でも100万人の読者がいるわけです。「最低でも」と言ったのは、マイナー誌は購入者イコール読者数ですが、メジャー誌だと回し読み、転売、理髪店や病院、喫茶店等に常備されるなどして、販売部数の数倍の潜在読者がいるからです。そこで、ある作品が雑誌の読者の5割の支持があるとしましょう。ちなみに読者アンケートで5割の支持があればトップクラスの人気作です。この支持者のうち6割(この数字は雑誌の傾向によって変わるので、適当な数字です)が実際に単行本を買ってくれる層だとすれば、10万雑誌では3万部、100万雑誌では最低30万部、潜在読者を含めれば60万部や100万部といった差になってきます。また、大手出版社は流通に対する力が大きいですから販売力も強く、宣伝予算が多いということもありますから、ヒットに加速をつけることが容易な面もあります。
一方で、コアな読者を持つマイナー誌は、支持読者の単行本購買率が高く、雑誌は読まなくても単行本は押さえておくような書店来訪率の高い読者層なので、雑誌販売数10万部に対し単行本部数20万30万の作品もあります。ただし、雑誌の部数の3倍くらいが限界のようです(そこまでの作品になると、逆に作品が雑誌の部数を押し上げるので)。
メジャー誌は確かに大ヒットを生む土壌ではありますが、メジャー誌で描けば必ずウハウハな印税生活ができるようになるわけではありません。連載作のみんながみんな単行本で稼いでるわけではなく、雑誌ではまあまあの人気作でも単行本の部数は1〜2万部そこそこの作品だってたくさんあります。メジャー誌だからマイナー誌だからというのではなく、自分の目指す作品表現に合った雑誌を見つけるほうがいいんじゃないでしょうか。
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