【質問と解答】
Q:以前から何度か質問をさせて頂いている少女漫画家志望のものです。現在また悩むことが多く、ご相談させて頂くことにしました。
現在、少女誌H社 とS 社にて担当編集者の方に付いて頂き、ネームを見てもらっている段階ですが、H社の編集の方のアドバイスの言い方がかなり厳しく(本当に私の描く漫画をよくする為に言ってくださっているのかさえ分からなくなってきています…)、正直電話するのも苦痛に感じられるようになってきてしまいました。H社で私が投稿している雑誌は凄く好きな雑誌なので、是非ここでデビューしたいと考えてやってきたのですが…。
一方、S社の編集さんは物腰が柔らかく、アドバイスも具体例などを混ぜて話してくださるので、ネームがとても直し易く感じられるのですが、連絡がなかなかつかず、編集さんの方からの連絡(ネームやプロットのお返事)がとても遅いことが気になります。
2つの出版社で別々のネームを切っていくことに限界を感じ、1社に絞ってデビューを目指そうと決めてはいるのですが、どちらが自分にとって有利な選択になるのでしょうか…迷っています。
また、現在は中高生の女の子向けの漫画を投稿していますが、集英社『りぼん』のようなもっと低年齢の雑誌にも投稿してみたいとも思うのですが、 それは今からでも可能でしょうか? 中高生向きと低学年の女の子向きの雑誌 のハッキリした違いなどを是非教えてください。
A:1社に絞ってデビューを目指すことには賛成です。安定した連載ができるようになるまで、本来二股投稿は避けるべきです。他誌に投稿する暇があれ ば、1誌に2倍のネームを持ち込みましょう。
さて、H社の編集者に本当に問題があるのかあなたの思いこみなだけかどうかは判断できませんが、あなたが電話するのも苦痛と感じていらっしゃる現状では、一緒にやっていくことは互いにとってよくないことです。あくまでH社にこだわるなら、担当替えをお願いしてみるのも手ですが、なかなか言い出しにくいと思います。第二志望でも、S社の担当編集の方が打ち合わせがしやすいなら、そちらに絞ってはいかがでしょうか。連絡が遅いことについては、よく話し合ってみましょう。
低年齢向けの雑誌については、また二股投稿になるなら、お薦めしません。中高生向けの雑誌が本命なら、そちらが軌道に乗るまで企画を温めておいたほう がいいでしょう。
一応、低学年向け少女マンガ誌と中高生向け少女マンガ誌との違いについて簡単に述べます。
1)キャラクターの感情表現について
中高生向けだと、感情の微妙な襞や感情の裏表まで描き込まないと物足りませんが、低年齢向けだと、よりわかりやすく、ストレートな感情表現が求められ ます。
2)表現のレーティングについて
『りぼん』『ちゃお』『なかよし』等の低学年向け雑誌は、小学校低学年から高学年まで読者の精神年齢が幅広くなっています。従って、「性」や 「暴 力」「死」の扱いについては慎重にならざるをえません。少なくとも投稿段階では「性」についてはNG、リアルな「暴力」「死」の表現も避けるべきです。 あえてこれらのテーマに挑むには、担当編集、編集長を交えて腰を 据えて臨む必要があります。
3)ジャンルについて
低年齢向け雑誌は、雑誌によって多少傾向は異なりますが、読者に受け入れられるジャンルの幅は広く、多かれ少なかれSFやファンタジー要素を取り入れ ています。一方、中高生向けでは雑誌によって読者の嗜好が完全に分かれています。SF、ファンタジー、歴史要素を盛り込んだ作品が並ぶ雑誌もあれば、リアルな世界観以外ダメという雑誌もあります。
4)絵柄について
低年齢向け雑誌では、POPで華やか、そして万人が見て可愛いと思える絵柄が好まれます。クセのある絵柄、シャープすぎるタッチは敬遠されます。また、キャラクターの商品価値が問われるため、ビジュアル面でキャラクター性が「立っている」ことも重視されます。つまり、キャラクター造形面で特徴があ ることと可愛さが両立しなければなりません。また、ペンタッチのキレイさも条件です。
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