【質問と解答】

Q: 漫画賞では投稿された全ての作品が複数の編集者によって審査さ れるものなのでしょうか? 投稿数が多かった場合など一人の編集者にしか見られない場合はあるのでしょうか? 漫画賞の第一審査では若手の編集者によってされると聞きましたが、どれくらい丁寧に審査されるのでしょうか?  受賞の連絡があるのは雑誌掲載のどれくらい前、どれくらいの時間帯にかかってくるものなのでしょうか?

A:編集部によって編集部員の人数も異なりますし(小さな編集部だと 2〜 3人のところもあります)、選考の手順も違うでしょうから一概にいえません。私の知る編集部は10人から40人までの部署ですが、そこでの選考方法としてお答えします。

 漫画賞の第一審査は、まず下読みを経て「粗選び」と通称する予備選 考で10〜20本前後が本会議(最終選考)に残ります(応募本数によって異なります。月間賞や月例賞だと10本前後、年に1〜4回の賞 だと20本前後)。下読みのメンバーはおっしゃられるとおり若手編集者なのですが、 「若手」というと新人編集者のように聞こえて不安に思 われるかもしれません。しかし、これは編集部内での若手という意味で、編集経験平均5年程度 の20代編集者が参加必須、30代編集者の 有志参加です。また、聞くところによると、某メジャー週刊誌ではデスク以外の編集部員全員下読み参加を義務づけているそうです。下読みは、応募締め切り後約1週間で下読みメン バー全員が全応募作を読んで採点(予選通過、保留、落選の3段階評価)します。その採点結果をも とに予備選考(粗選び)が行われます。ここでは1 〜2名のデスク(副編集長以上の部員)を中心として下読みメンバーが集ま って行います。 私の以前いた編集部では、初投稿の場合は平均点が低くても一人でも編集部員の強い支持があれば残す方針でした。この予備選考に残った作品がいわゆる「最終選考に残った作品」で、誌面での漫画賞結果発表で名前とタイトルが掲載されます。そして、予備選考に残った作品を全編集部員が、今度は賞を決めるために再び熟読し、採点(5段階評価)をします。そして、定例編集会議のなかで採点をもとに選考本会議が行われ、部員同士で議論を戦わせ、最終的に編集長が賞を決定します。

 以上が、漫画賞選考の基本的な流れです。編集部内のみで審査を行う漫画賞はこのように予備選考と本会議の2段階のみですが、漫画家や評論家などの外部審査員がいる漫画賞では、3段階審査になります。最終選考に残った作品のコピーをあらかじめ外部審査員に熟読してもらい、部内採点表と編集会議での議論内容もふまえた上で、編集長と外部審査員とで最終審査を行い ます。

 受賞の連絡ですが、選考結果が出るのは月刊誌だと雑誌での結果掲載の1ヵ月前から1ヵ月半前、週刊誌だと2週間から4週間前くらいで す。連絡の時間帯は決まっていませんが、一般的な編集者の業務時間である昼過ぎから夜になります。希望の連絡時間帯があれば、応募の際の連絡先の項に補足として記入しておくといいです。なお、応募の際に連絡先や本名を書き忘れている方が時々いますので、発送前にもう一度よく確認しておいたほうがいいですね。


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