【質問と解答】

Q:バイトをしながら漫画を描いて3年ですが上手くなりません。よく、神が降りて来るとか、ペン先に神が宿る、キャラが勝手に走り出 す、とか超常現象みたいな経験談がありますけど、私には一度もありません。あるのはサラ金の催促くらいです。ほんとうにあるのでしょうか。

A:本当にありますが、別にオカルトでもなんでもありません。「神が降りて来る」というのは、アイディアを考えに考え抜いたあげく、ふと リラックスした時に考えがまとまったり、発想の転換ができたりして、 アイディアがまとまった時などを表現する言い回しです。風呂に入っているときとか、トイレで用足しをしているときとか、犬の散歩をしているときとかに「神が降りて来る」ことが多いようです。もちろん、その前に考えに考え抜くのが前提ですが。

 また、「ペン先に神が宿る」というのは、集中力が高まって異常にペン入れの調子がいい状態のことです。普段なかなか描けない線が一発で描けたり、なかなか描けない構図がすんなり作れたりします。野球のバッターが球の縫い目まではっきり見えたり、麻雀で普段はわからない相手の手が読めたりするのと似ているかもしれません。漫画では、徹夜をしていて一時的にハイテンションになって集中力が高まった時などに起こることが多いようですが、自分でコントロールできないので、「神が宿る」的な表現をするわけです。

 「キャラが勝手に走り出す(動き出す)」というのは、前の二者と異なり、努力次第で状態を作り出すことができます。要するに、脇キャラも含めて個々のキャラクターがちゃんと確立していれば、もっともそのキャラクターらしい行動や台詞が見えてくるというものです。自分の頭のなかでまるで生身のキャラクターが演技しているかのように、ネームが紡ぎ出せますから、リアリティのある生き生きとしたキャラクターが描けます。反面、あらかじめ仮組みしておいたストーリーの流れ(プロット)とは別のキャラの動きが見えてきますから、うまくコントロールしないと規定のページ数をオーバーしてしまいます。

 「神が〜」といったものは、プロになって締め切りに追いつめられた時に出てくる火事場の馬鹿力的なものですから、デビュー前ではおそらく出てこないでしょうし、自分ではなかなかコントロールできないものですから、それをあてにはしてはいけません。


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