【質問と解答】

Q:私は少年漫画家を目指してます!! そこで相談なんですが…。私はコマ割りが苦手で…、コマ割りはどのようにしたら上達するでしょうか?? コマ割り、戦闘シーンをより上手く描くコツなどあれば、教えていただきたいのですが…。 

A:まず、絵コンテ(ネーム)を切るときは見開き単位で切りましょう。見開き左ページのラストのコマでは読者を期待をあおり、次の見開きの右ページ1コマ目でその結果を説明する印象的なコマにします。印象的なコマには、「前ページからの期待に応えるコマ」と「予想を裏切り意表をつくコマ」の二種類あり、コマを大きくとる(場合によっては1ページ全面や見開きを使う)ことで効果が増します。いずれにせよ右ページ1コマ目に対する期待感で読者にページをめくらせていきます。これを「メクリ」と「ヒキ」の効果と言います。4月5日の質問のように「メクリ」と「ヒキ」の用語の使い方が統一されていないため、説明しづらいのですが、ここでは「メクリ」「ヒキ」の繰り返しによってネームが構成されているのだということだけを意識しておいてください。状況が二転三転する戦闘シーンでは、この「メクリ」「ヒキ」が特に重要です。
 「メクリ」「ヒキ」はページ単位の演出法ですが、コマ単位の演出法として重要なのが「間(ま)」のとり方です。戦闘シーンでいうと、大技を出すとか必殺技を出すとか戦闘の流れを変える(あるいは変えると思わせる)アクションを起こす前には、「間」をとらなければせっかくの見所シーンが読者に読み流されてしまいます。また、戦闘の流れが変わらないアクションでは「間」をとると間延びしてスピード感が損なわれてしまいますので、動きを省略して「間」をとらない演出をします。この「間」のとり方によって戦闘シーンに緩急がつき、画面にもメリハリが生まれるのです。
 バトル物などでは勝利のカタルシスが大きいほど、読者の満足度は高くなります。カタルシスを高めるためにはその前の「溜め」が重要です。溜めを作り出すには、主人公が苦況に陥る、第三者が主人公の劣勢であることや不利な状況であることを語る、敵が自らの優位を確信するなどの表現を積み重ねることで読者のストレスを高めます。ストレスが高まれば高まるほど、それが解放されたときのカタルシスの快感が大きくなります。ストーリーは大小のストレスとカタルシスの波の連続とも言えます。その最大の波がストーリーのクライマックスというわけです。このストレスとカタルシスというストーリーやシーンの構造と、「メクリ」「ヒキ」、「間」のとり方という演出を効果的に組み合わせることによって、読者を熱くさせる少年漫画の絵コンテを切ることができます。


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