【質問と解答】

Q:僕は以前某技法書を買いました。しかし、まだ初心者のボクにはよくわからない内容だったので、初心者用の漫画の入門書のようなものがほしいと思い、ネットで調べてみました。そうしたら、その技法書の筆者の初心者用の技法書があったので、それを買おうと思ったのですが、その筆者のこれまでの経歴をみたところ技法書は何冊か出しているみたいなんですけど、肝心な漫画の世界では全然活躍をしていない人でした(単行本は発売されていても全1〜2巻とかばかりでした)。そこで、自分が漫画家として成功しなかった人が出している技法書ははたしてちゃんとしたものなんでしょうか。僕の考えではそれは自分が野球がヘタだったからしょうがなく指導者になった高校野球の監督みたいなものと同じものだと思います。そんな人の技法書 がはたして役に立つんでしょうか。それと初心者にもわかりやすい漫画の技法書をいくつか教えてください。

A:スポーツの世界で「名選手、必ずしも名伯楽ならず」とよく言われ ます。現役時代に名選手と言われた選手でも、必ずしも名監督になれるとは限らないということです。むしろ天才的な選手ほど、自分が現役時代に難しいことも難なくこなしたがために、凡百の選手のつまづきが理解できず、新人育成を苦手とするようです。現役時代に挫折を繰り返しながらもこつこつと努力を重ねてきた地味な選手のほうが、新人に自分と同じ轍を踏ませないようにとよい指導者になれるのかもしれません。ですから大ヒットをとばした漫画家の著作でないからといって、技法書として劣るというものではありません。ちなみに、入門書や技法書の筆者の大半は、漫画家ですらありません。
 初心者向けの入門書としてのお薦めは『マンガスタートアップガイド ペン&インク』(美術出版社)です。プロの漫画家による古典として は『石ノ森章太郎のマンガ家入門』(秋田書店)がいいでしょう。文庫版で安く手に入ります。入門書を卒業して超初心者から少しレベルアッ プをはかりたいという方には、『小池一夫の漫画学 キャラクターはこう動かす』(小池書院)『マンガ構成術 ストーリーメイキングガイド』(美術出版社)『快描教室』(美術出版社)『漫々快々』 (美術出版社)『マンガスーパーテクニック講座』(美術出版社)あたりがお薦めです。


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