【質問と解答】
Q:現在高校生で以前2社に持ち込みをしました。最初の会社ではヘタと言われましたが、ちゃんとダメな部分を指摘してどういう練習をすれば改善できるかなど、こんなガキに時間をかけて指導してもらいました。ところが2社目に行くと原稿はすべて読んでもらったものの、いきなり「漫画描くのはやめといたほうがいい、同人か趣味にしときな。たぶん才能ないよ」「厳しいこと言うようだけど、適当なこと言うと君の人生が狂っちゃうから」と言われ、さらにこれからの進路をどうするのかと聞かれ、大学に行くと言ったら「そのほうがいい! 間違っても専門学校とか行くな」と引導を渡されてしまいました。 対応時間は5分でした。2社の対応のあまりの違いにショックを受けていると 友人に「悪い人に当たったんだよ。そんな漫画家を潰すようなこと言ってたら商業雑誌の未来まで潰れちゃうじゃん」と励まされました。
才能ない宣言をした編集者の方は、となりでデビュー間近であろう新人さんとネームのやり取りをしており、僕が来たので、「じゃ、タイトル考えといて」とその新人に言い、僕の持ち込みの対応をし、終わらせたとたん足早に「タイトル決まった?」と、新人の所に戻って行きました。やっぱり状況が悪かったのでしょうか?(予約はもちろんとっていました) その新人とのやり取りに時間を割きたかったからなのでしょうか? 僕としては原稿の未熟さは納得していますが、やめといたほうがいいと言われるのは納得いきません。編集者の方は新人の何を見て才能の有無を判断するのですか?
A:ちょっと厳しい経験をしたようですね。しかし、納得がいこうといくまいと持ち込みや投稿をして評価を受けるということはこういうことです。編集部はお金を払って教えてもらう学校とは違います。質問で語られる2社目の編集者はかなり辛辣な言い方だと思いますが、出版社は利益を追求する会社組織である以上、商業誌の編集者は多かれ少なかれ雑誌にとって有用か否かの目で作家や投稿者を見ています。雑誌に不用と見れば、あなたが遭遇した辛口の編集者のようにバッサリ切り捨てる人間もいるわけで、ある意味正直とも言えます。持ち込みや投稿をしていくならばそういうシビアな批評を受ける覚悟が必要です。ただ、それはあくまで一つの編集部や一人の編集者の評価であって、あなたの才能に対する絶対的評価ではありません。1本2本の作品でその人の未来の成長まで測れるわけではありませんし、ある編集部では必要とされなくても別の編集部では必要とされることも珍しくはありません。
ともあれ、編集者の対応は対照的ながら、2社の編集者にダメ出しをされたのですから、現時点での力量が編集者の目から見てどの程度のものかはわかったと思います。あなたはまだ高校生なのですから、これからの努力次第で力を伸ばすことは可能でしょう。もっともそれは、今の悔しさをバネに欠点を克服する努力ができるかどうかにかかっています。文中の2社の編集者の批評から察するによほどの覚悟が必要でしょう。努力は必ず報われるとは言いませんが、努力しなければ可能性はゼロです。持ち込みでうちじゃあダメだねとさんざん酷評された投稿者が数年後、別の雑誌で大人気作家になったという話を、ごく身近で聞いています(しかもそのうちのひとつは持ち込みを受けたのは名編集者と言われた方で、有名誌の編集長も務めていました)。
つまるところ、他者から肯定されようが否定されようがあなた自身の未来ですから、才能があるのに漫画家をあきらめようと、目指した挙げ句挫折しようと、他の誰かが責任を取ってくれるわけではありません。編集者がどう言おうと道を選ぶの自分ですし、その選択には自分で責任を持たねばなりません。一度や二度の持ち込みで編集者から何と言われようと、それでも自分の才能を信じ、漫画を描きたいという情熱を持っているならば、酷評にめげずいつかあの時の編集者を見返してやるという意気込みで描き続けてください。
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