【質問と解答】

Q:アシスタントについて質問があります。
 1)編集の方から紹介される場合、技量を見ることも兼ねて自作を先生がご覧になることがありますか? 一本の読み切りを読んで頂き世界観があったり絵柄などでしっくりくるとやはり採用率は上がりますか?


 2)画材は指定されるんですか。また、何を使ってるか質問され、自由に職場で使えますか?

 3)給与面、憧れ度、学べることの豊富さを考慮したら、売れっ子の漫画家のほうが希望なんですが…当然難易度(採用率、技術度共に)上がりますよね? 自信はあるんですが…。


 4)最初は緊張がたえないと思います。手が震えたりして、原稿を汚したら最後ですか?(頻度にもよりますが)例えば・・・あまりの緊張により枠線のインクの滲みなどの初歩的なミスをやらかす人もいたりしますか?

 5)当然私もプロ志向です。地方だと、あとでこじれたなどの体験談がこのサイトでたくさん書き込まれてました。それは編集者と距離があるからという原因はあると思いますが、違うサイトでは都内在住のほうがメリットがある、と紹介されてます。このまま地方で投稿活動か、首都圏で現場でモチベーションを保ちつつ、出版社に作品持ち込んだり打ち合わせをするとなると、やはり後者のほうが近道ですね? また先生は、いつかこいつは辞めてプロになるのか・・・と思ったら採用は難しくなりますか?

A:1)基本的には一般応募と同じように指定カットを描いて提出してもらいますが、急ぎの場合や編集者が技術を保証できる方の場合は作品の原画コピーを先生にお見せします。ただ、アシスタント選考時には背景の作画レベルや絵柄、ペンタッチ、仕上げ処理など技術を見るのであって、ストーリーを追って読むことまではまずしませんから、先生に作品を読んでもらって感想や批評を聞けるなどと過度な期待はしないでください。採用後なら自作品を読んでもらってアドバイスをもらう機会もあります。

 2)基本的には自分の普段使っている画材を使うことになりますが、インクやペン先は仕事場で標準に使っているものを使用するように求められることもあります。スクリーントーンは先生が用意します。

 3)希望者が多い職場は採用の難易度は確かに高くなります。また、アシスタントは常に募集しているわけではないので、希望の作家の仕事場に空きができるかどうかはタイミング次第です。スタッフの人数は足りているが、いい人がいれば採用するかもしれない、と常時募集している先生もいますが、当然採用基準は高くなります。

 4)一度や二度ならよほどの致命的なミスでない限り許してもらえるかもしれませんが、頻繁だと二度目からお呼びはかからないでしょう。また、注意されたにもかかわらず、それに従わないでミスを犯した場合は、一度目であっても「もうこなくていいから」ということになるかもしれません。

 5)上京して都内もしくはその近郊に住んだほうがメリットがあるのは確かです。打ち合わせも直接会ってするほうが効率的ですし、アシスタントの口も多いです。ただ、東京は家賃も高いですし、敷金礼金、引っ越し費用等の初期出費も馬鹿になりません。ちょっといいところに住んでアシスタント代だけで生計を立てようとすると、ほとんど休みがないきつい仕事場か、アシスタントの掛け持ち(あるいはほかのバイトとの掛け持ち)をすることになります。高い家賃を払うために自分の作品を描く時間がなくなるのでは本末転倒です。また、一人暮らしをするようになると炊事・洗濯・買い物その他もろもろの日常的な雑事に時間をとられるようになりますし、遊び場所や楽しいイベントも多いので、目標をしっかり持ってそれを意識しつつ日々を送らないと、当初のモチベーションを失ってだらだらと過ごすようになってしまいます。そうして、自分の作品を描かなくなってプロアシ(アシスタントのプロ)になった人もたくさん知っています。東京に出ればなんとかなる程度の曖昧な考えでしたらやめておいたほうがいいでしょう。自分の貯金残高や性格をよく考えて結論を出してください。連載が軌道に乗ってからはじめて上京するプロの方も多いですよ。

 アシスタントはいつかデビューしていくものだと先生も認識していますので、プロを目指していると正直に言って採用が難しくなるといったことはありません。ただ、プロアシでもない限りアシスタントとして戦力になるには通常2〜3か月、一から技術を教える場合だと半年はかかりますので、その期間以内で連載などの具体的な話が進んでいるなら採用しません。レギュラーアシスタントとして採用するなら、最低1年はやってもらえるというのが前提です。デビューしても連載にはまだ至らず、たまに読み切りが載る程度だったり、連載でも4コマやショート1本だとそれだけでやっていくのは苦しいですから、連載と並行してアシスタントの仕事もそのまま続ける方もいます。


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