【質問と解答】

Q:現在、少年誌の担当者の方についていて、ネームをみていただいてます。その方がおっしゃるには、「絵はプロになればいやでも成長する。今は、魅力ある主人公を描けるようになることが一番大事」とのこと。確かに、少年漫画で一番大事なのは主人公であり、絵は後からでも成長できると思います。ただ、自分は絵もまだまだなので、トレースで練習とかもしながらネームを描いていると、どうしてもネームの進みが遅くなります。やはり、今は絵のことを気にせず、バンバンネームを持っていったほうがよいのでしょうか? ネームだけ描いていると、ペンも持たないし、画力が落ちてきてしまう気がして、しかも背景とかもまだまだ力不足なので、心配になってきます。それと、ネームでOKが出れば、きっと本描きにいけると思うのですが、まだOKが出ません。その為、ここ1年くらい賞に応募してないので、自分のレベルが良くわかりません。
 ただ、担当の方から「賞をとるためのマンガを描いてもその先がない。賞をとった後も連載を続けていけるようなマンガを描いてほしい」と何回か言われました。これは、私がある程度のレベルには達していて、多少の期待をしてくれている、ということなのでしょうか。それとも、私の漫画は賞に出せるレベルにも達していないし、ただ参考程度に、おっしゃってくれてるだけなのでしょうか。私の担当者の方は、毎回親身になって話してくださって、私もこの方のもとで、絶対デビューしたい、と考えています。ただ、まだ結果が出せていないので、そのうち切られるんじゃないかと不安もあります。担当の方が何を思ってそういってくれてるのか、ほかの方に対しても社交辞令的にそういうことを言うのか、気になります。お答えに困る質問だと思うのですが、少しでも編集者の方の考えがわかれば、と思い質問させていただきました。

A:あなたの現在の漫画力、絵やストーリーのレベルがどの程度なのかわからないので、担当の方の指導方針についてあれこれ言いたくはないのですが、ご質問にはなんらかの回答をさせていただく場なので私なりの考えを述べさせていただきます。
 少年漫画で一番大事なのはキャラクターであるという点は大いに同意します。しかし、漫画はキャラクターを絵で表現する以上、画力もまたキャラクター描写の重要な要素であるはずです。絵はプロになればいやでも成長するというのも真実ですが、そのプロになるためにも画力は要求されます。あなたの画力や絵の魅力がすでに掲載レベルに達しているのならばいいのですが、そうでないならば作画練習はネームと並行して行うべきです。絵柄の固まっていない成長時期に何か月もペンを握らないのは画力の低下を招きかねません。担当さんとネームのやりとりをするのと並行して、自主的に作画練習はしておいてはいかがでしょうか。また、ネームのやりとりだけが長期間続くとモチベーションも下がってきます。1本の作品を描き上げるという行為は総合的な漫画力を高めてくれますので、自分である程度納得のいくネームができたら積極的にペン入れ希望を担当に申し出るといいでしょう。
 ともあれ、あれこれ悩む前に、一度担当さんに自分に対してどういう育成プランを考えているのか、デビューに向けてどういう段階を踏ませることを想定しているのかを率直に聞いてみてはいかがでしょうか。


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