【質問と解答】
Q:先日、廃墟の写真が盗作疑惑で告訴されましたが、後出しの方は確信犯ですね。一般的に誰でもいける場所で写真を写せるモノ(富士山、観光地、東京タワー等)が著作権に触れるならブログ等に写真を掲載できないのでは? 著作権とは本人しか知りえない場所とか特殊な撮影技術(上空からとか)、時間、空気、色彩が撮影者の心情、思想、感性でしか写せない描けないモチーフ被写体を独自に捉えたモノを指すのであって、廃墟ってモチーフが同じと言うだけでは難しいと思う。無断転載禁止の条項が無くても全ての画像に著作権なんてほんとうにあるのだろうか?
A:質問の裁判中の事例については、現時点で判決が出ていない以上、個人的な見解を述べることは差し控えます。ちなみに、勘違いしているようですが、廃墟という被写体自体に著作権があるのではないということだけ言っておきましょう。質問で例に挙げた富士山、観光地のような自然や風景には著作権者が存在しません。東京タワーについては、建造物自体は著作物であると考えられますが、公共的な施設としての色合いが強いため著作権を主張しないのだと思われます。ちなみに東京タワーを管理・運営しているのは日本電波塔株式会社という民間会社です。なお、タワーが著作物であっても著作権保護期間は過ぎています。さて、被写体に著作権がなくとも写真には著作権が生じ、著作権者は撮影者ということになります。ですから、被写体が誰でも撮れるものであっても、雑誌や書籍の写真を無断転載すれば著作権侵害となります。より詳しくは、2009年2月13日の質問への回答をご覧ください。ともあれ、質問の裁判は非常に興味深い事例ですし、今後の判例ともなるものなので、私自身もどういう判決が下されるのか見守っています。
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