【質問と解答】

Q:デビュー作後１作目は必ず描かせてもらえるものなのですか？　あと、デビュー後２作目からはコンペに通らないと掲載されないということが業界の基本なのでしょうか。実際漫画家デビューしてもデビュー作やその後１本で消えてしまう作家さんもかなり多いようですが、それはやはり編集部の判断なのでしょうか。

A:新人賞を受賞して掲載されたら、それが「デビュー作」になるわけですが、受賞後第１作を担当の指導のもと描き上げても掲載されるかどうかは保証 されているわけではありません。デビューというのはプロの入り口に立ったに過ぎません。デビュー後は、投稿者ではなくプロとしてのクオリティを求められます。当然、期待されるレベルは上がりますが、それに応えられないようではプロとして生き残れません。雑誌にお金を払う読者に対しては、まだ新人だからといういいわけは通用しないのです。プロの土俵に上がれば、デビューしたての海のものとも山のものともわからない新人だろうと、１００万部売り上げている人気作家だろうと、読者にとって肝心なのはおもしろいかどうかのどちらかだけです。そして、編集部としては将来雑誌を背負っていって貰いたい新人を売り出していきたいものの、何の結果も出していない新人の作品を載せるということにはリスクが伴います。そのために、新人作品の中で勝算の高い作品をコンペで選ぶわけですが、雑誌の収支に責任を持つのは編集長ですから、最終判断は編集長に委ねられます。このコンペに勝ち残った作品が掲載され、そこで結果が良ければ連載企画を立てることができるようになります。連載企画においても当然ながらコンペがあり、それに勝ち残れば晴れて連載作家になれます。結果が思わしくなく連載が早期に終了した場合は、再びコンペからやり直しとなります。このチャレンジは何度でもできますが、回を重ねるにつれハードルが高くなります。2作目からはアンケート結果やコミックスの販売部数というデータがある以上、前作を上回る作品でないとコンペの俎上にも上らなくなります。それが、期待されながらデビュー作やデビュー後第１作で消えていく新人たちです。厳しいようですが、あなたが昨日まで憧れていた連載作家さんたちを蹴落として行かない限りその先はない、それがプロの世界です。

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