【質問と解答】

Q:今、制作中の漫画で、某国民的アニメの絵柄・構図・背景・セリフを1シーン限定で真似して、キャラがツッコミを入れると自分の絵柄に戻るという部分があるのですが、これはまずいでしょうか? 個人的には「これ、パクリ?」ではなく、「あ、あのアニメだ」と気付かせる姿勢で作画したのですが。

A:あなたの行為は「パロディ」にあたります。著作権法上ではパロディはなかなか取り扱いの微妙なもので、著作権法でパロディは著作権侵害ではないと明文化されているフランス以外のほとんどの国では、限定的にしか許容されていません。日本の著作権法においてはパロディは「引用」と見なされ、1980年に引用の条件を最高裁が示しています。詳しくは述べませんが、引用が報道・批評・研究等の目的上正当な範囲であるか、引用部分が明確になっているか、引用を行う必然性があるか、出所(引用元)が明示されているか等が条件となっています。著作権法の引用の条件からすると、あなたの行為は著作権侵害であると判断される可能性が高いですね。ちなみに、アニパロ、漫画パロディの同人誌なども著作権者に許諾を得たもの以外は実はすべて著作権侵害であり、ただファン活動として黙認されているに過ぎません。著作権者がその気になれば、いつでも訴えることができる類のものであり、過去そういう事例があることも知っておいてください。
 著作権侵害で訴えられる危険性もわきまえた上であえてやるパロディギャグというのも商業誌で存在しますが、その場合は表現の仕方やパロディ元の著作権者などケースバイケースで考慮が必要ですので、やりたければデビューしてから担当に相談しながら描いてください。なお、新人賞においてはパロディは評価の対象にはなりません。新人賞で審査するのはあなたのオリジナリティですので、パロディ部分がたとえ作品の一部分であっても、評価にマイナスに働くことがあってもプラスに働くことはありませんので、投稿作品ではやめておきましょう。


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