【質問と解答】

Q:1)青色のシャー芯を使ったときのメリットとデメリットを教えて下さい。

 2)ある漫画で、巻頭カラーの仕事で「4色」と書いて「カラー」とルビが振ってあったんですが、この場合の「4色」と言うのは「使って良い色が4色」という意味なんでしょうか? もしそうであれば、例えば肌の色に4色使うだけでもうそれまでになってしまいますが、実際お仕事でそんな事があったりしますか?(その漫画では何回も出てきていたので‥‥)

 3)コミックスのおまけページについてですが、例えば漫画家さんがそのコミックス内で「1話目と2話目の間に2pのおまけページをファンサービスとして描きたいです」といえばそうしてくれるものなのですか?

A:1)青鉛筆とシャープペンシルの青芯の間には特に明確なメリット、デメリットはありません。自分の使いやすいほうを使うといいでしょう。強いて言うならば、青鉛筆は広範囲の範囲指定に向いており、シャーペンの青は文字での細かい指定に向いている、ということくらいでしょうか。

 2)「カラー」の「4色」というのは、原稿を描く際に4色しか使ってはいけないという意味ではありません。インクジェットプリンタで4色インクとか6色インクとかありますよね? それらは4色や6色のインクですべての色を表現し、印刷しています。それと同じように、印刷時に使うインクの数を指しているのです。ですから、原稿を描く際にはまったく気にせず好きなように描いてください。ただし、金色、銀色、蛍光色は基本4色印刷では出ないので、仮に原稿にそれらの色を使っても、輝きやツヤのない色に変換されて印刷されますので注意してください。

 印刷における基本4色は「CMYK」と呼ばれ、色の三原色である「C(シアン/青)」「M(マゼンダ/赤)」「Y(イエロー/黄)」に「K(キートーン/黒)」を加えたものです。色の三原色の「CMY」はそれのかけ合わせだけであらゆる色を表現することができます。「C100%+M100%+Y100%」で黒色になるのですが、かけ合わせの黒はどうしても色が浅くなり、印刷に締まりがなくなるため、キートーン(Key tone)の黒を加えて4色印刷するのです。なぜ黒をキートーンと言うのかというと、もともと印刷において画像の輪郭の細部をはっきり出すために用いられた印刷板を「キープレート(key plate)」といい、それに黒色が使われたからです。写真や映像の青バックみたいなものと考えればわかりやすいでしょうか。また、「K」の代わりに黒(black)の略である「Bk」を使用し、基本4色を「CMYBk」ということもあります。なお、カラーでは蛍光色は出ないと前述しましたが、少女漫画誌では「K」の代わりに「蛍光ピンク」を印刷色にしていることがよくあります。キャラクターの肌の発色を良くし、衣装や小物の色を華やかにするためです。雑誌のカラーページで、フキダシの文字が青とか赤とか、黒以外になっている時は「CMY+PK(蛍光ピンク)」の4色で印刷されていると考えていいです。ちなみにコミックスのカバーは「CYMK」の基本4色に任意の特色(金・銀・蛍光色・パール色など)を加えた5色印刷が基本で、雑誌の表紙は基本4色に特色2色を加えた6色印刷が多く採用されています。ですから、コミックスのカバーや雑誌の表紙用のイラストでは、あらかじめ担当編集者と特色に何を使うか決めていれば、金色や銀色、その他基本4色では表現できない色も原稿に使用することができます。印刷の色数が多いほどきれいな印刷物になるのですが、色を多くすればするほど印刷コストが上がるのはインクジェットプリンタと同じですね。

 3)コミックスの編成に関しては、基本的に著者の意向を最優先します。ですから、このページとこのページの間におまけページを入れたいというのであれば、なるべくその要望に応えます。「なるべく」というのは、総ページ数との兼ね合いで著者の意向に添えない場合もあるからです。コミックスの印刷には、大部数の単行本のみで行う輪転印刷と少部数の単行本で行う平台印刷の2種類があります。輪転機を使って印刷する輪転印刷では32P単位で印刷を行います。平台印刷機では16Pもしくは8P単位となります。さて、編成であらかじめ空きページがあればまったく問題ないのですが、基本編成がきりのいい32P単位となっているところに2Pのおまけページを加えるとなると、最低8Pの増ページを行わなければなりません。しかも輪転機と平台印刷機の併用となり、2Pの描き足しに見合わないコスト高になります。ですから、そういう時は出版社サイドとしてはなるべくおまけページは避けてほしいわけです。そこで、著者と編集部の交渉になるわけですが、どちらの意向が通るかは最終的には両者の力関係になります。つまりは売れっ子作家の場合は編成のわがままがききますが、新人作家やあまり売れていない作家の場合は多少妥協してもらうというわけで、読んでてあまり気分のいい話ではないかもしれませんが、商業出版である以上避けては通れない現実ではあります。ですが、編集者というのは業務部や販売部と違って考え方が作家寄りで、読者に喜ばれるようないい本を作りたいという気持ちが強い生き物ですから、わがままはダメ元で言うだけ言ってみてください。

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