【質問と解答】
Q:現在、少年誌に持ち込みをしています。自分は、とにかく絵が硬いという批評を毎回いただきます。以前小さな賞をいただいた際も、絵柄が硬いという評価をいただきました。最初は絵柄が古いというのが最大のネックになっていたので、絵柄を改善して新作を持ち込みした際は、絵柄については何も指摘されなかったのですが、やはりまだ絵が硬いと言われました。硬い、というのは絵がイラストっぽいということです、と担当者の方は言うのですが、この絵が硬い、というのがどのように改善すればよいのかわかりません。体の動きをごまかしてるわけでも、ポーズが変なわけでもないようなのですが……。アシスタントをしても、人物というのは描かせてもらえないので、自分で練習するしかありません。とにかく毎日ペンを握って、人物を練習してください、というアドバイスをいただくのですが、絵が硬い=ペンに不慣れだから、ペンを自在に扱えてないから、ということなのでしょうか? 自分なりに思うのは、ペンに不慣れだから丁寧に描くことしかできず、きっちり絵を描きすぎてるのかな、と思います。もっとペンならではの勢いに任せてスピードをあげてかけば多少はよくなるものなのでしょうか? なかなか絵の硬さから抜けることができず、悩んでいます。もし、何かアドバイスいただけることがあれば、お願いします。
A:「絵が硬い」というのには3つ考えられます。ひとつは「線が硬い」ことです。人物の主線に強弱が乏しく勢いがなかったり、体の線が曲線に乏しい、崩したタッチがまったく描けない場合に指摘されます。原因としては画材が合っていなかったり、ペンに慣れていないことが挙げられます。鉛筆で描いたネームや下描きでは絵が硬いと指摘されないならば、これが理由でしょう。柔らかで強弱のある線を描けるまで練習を重ねるしかありません。
もうひとつは「表情が硬い」ことです。人物の表情が乏しかったりぎこちなかったりする場合です。デフォルト絵ではちゃんと描けても表情をつけると、顔のパーツの形が不自然になったり、パーツの配置がアンバランスになったりするのが原因です。打開法としては、既成作家の様々な表情の絵をトレースする練習を繰り返し、表情をつけたときのパーツのバランスを「感覚として」身につけることです。
最後に「動きが硬い」です。どんなポーズをとらせてもすべて静止している状態でポーズをとっているような絵になってしまい、動きが感じられないケースです。動画を一時停止させてコマ送りしながら、動きの中での人体をデッサン練習をするのがいいでしょう。体全体の動きを捉えることが大切なので、ディテールまでは描かなくてもかまいませんが、数をたくさんこなしましょう。美術解剖学の知識も役立ちます。体を動かしたときの筋肉や骨格の動きが不自然であれば、ぎこちなく映ります。ポイントは重心の位置と動きのベクトルです。あとは、画風にもよりますが、動きの大きいパーツの主線をブラしたり、スピード線を入れたりという絵の処理上のテクニックでも印象は変わります。
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