【質問と解答】

Q:ネームを見せて編集を通って原稿に仕上げて掲載はいつになるかわからないので買い取りとなった場合、買い取りを拒否することはできるのでしょうか? もしその雑誌が廃刊になった場合買い取られた原稿はどうなるのでしょうか? そしてそうなった場合、その原稿が他誌で掲載されるということはあるのでしょうか?


A:原稿買い取りを受けるかどうかは作者の自由ですので、辞退することもできます。「買い取り」というのは、原稿料の前払いのことで、作家に対する経済的援助のために行っているものです。掲載号がほぼ決まっていれば全額支払いの買い取りとなりますが、掲載号未定の場合は半額前払いで掲載後に残り半額を支払うことが多いです。本来、原稿料は掲載後に支払われるものであり、掲載号未定のまま前払いするのは実は出版社の経理上はあまり望ましくないので、買い取り辞退はむしろ歓迎されると思います。ただ、担当編集者との打ち合わせで作った作品を他誌に投稿する場合は、あらかじめその担当に許諾を得て行うべきです。また、元の雑誌に掲載の可能性があるなら、そちらを優先してください。なお、日本の出版界では「原稿料」とは「掲載料」のことであり、「買い取り」と言っても作品の著作権や原稿の所有権は著者から移動しないのが慣例です。もっとも、他業種の会社・個人、外国の出版社等との取り引きにおいてはその限りでなく、原稿の所有権や著作権の譲渡契約になる場合もありますので、注意が必要です。
 さて、雑誌が休刊・廃刊になった場合は、迅速に買い取り原稿を担当編集者から返却してもらってください。編集部が解体して担当も異動や退社してしまうと、原稿の管理責任者がいなくなってしまう恐れがあります。返却してもらった原稿は、雑誌掲載前提で原稿料の前払いを受けたにもかかわらず雑誌がなくなり掲載履行が不可能になったわけですから、買い取りに縛られることなく他誌に持ち込み・投稿することができます。もちろん、掲載もまた可能です。

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