【質問と解答】
Q:持ち込み予定の作品を友人に読んで頂いたのですが、「落ちが見える」と言われました。落ちが見えて良いパターンもあると思うのですが、捻らなきゃいけないこともあると思います。その辺のさじ加減って、自分次第ですか? 落ちが見えるというのは、面白くないということなのでしょうか? 私は落ち云々より、伝えたいことを描くことのほうが好きなので、「結」は本当に「まとめ」のような気持ちで描いています。今回の話は「起承転」まで行ったら落ちが見えた、と批評されたのですが、「結」の手前の部分で落ちが見えるのは普通な気がします。私が漫画を読んでて、結末で今更内容がひっくり返るというのは、あまり見かけません。
ドラマでもそうですが、「見えてる落ち」が面白くないというのは漫画自体面白くないってことだと思います。勧善懲悪もののように、「敵をやっつけてめでたし」とか「お姫様が王子とくっついてハッピーエンド」という落ちがある場合、どこら辺が捻ってあると読者に楽しんでもらえるのでしょうか? 曖昧な質問かもしれませんが、何か教えて頂けると幸いです。
A:どうも、あなたもお友達も「オチ」という言葉の意味をズレて捉えているようです。あなたは「結末」、「起承転結の結」という意味で捉えているようですが、起承転結型の4コマ(オチのない4コマもあります)やギャグ漫画やショートを除くストーリー漫画では、「結末」と「オチ」とは異なります。「敵をやっつけてめでたし」とか「お姫様が王子とくっついてハッピーエンド」というのはストーリーの結末であり、「オチ」とは言いません。例えば、ルパン三世が悪漢を倒しヒロインを救って別れを告げるまでがストーリー上の結末ですが、その後にくる銭形警部に追いかけられるいつものコミカルシーンが「オチ」です。つまり、ストーリー漫画では、「オチ」とは「ストーリー本編の結末」ではなく、笑いや癒しを伴う日常への回帰、舞台裏の公開、次の展開の予兆、本編のリセットといったエピローグと考えてください。日常への回帰はルパン三世の例で挙げたようなことです。舞台裏の公開とは、脇役や敵役の視点で主人公のドラマの結末を振り返るタイプのエピローグ。次の展開の予兆とは、敵役の復活や新キャラ登場による次なる戦いのプロローグやループオチを指します。本編のリセットは夢オチや爆発オチなどで、ある意味日常への回帰ではありますが、それまでの展開をなかったことにしたり収拾がつかなくなった状況を強引に終わらせたりするので、よほど上手く使わないと読者をがっかりさせるオチです。
一方で、お友達が「オチが見える」という表現は、結末がわかるということを指しているのではなく、終盤部分以降の「先の展開が読める」ということを言っているのだと思います。読まれない展開にするにはどうすればいいか、ということを2010年7月9日の質問の回答で述べていますので、参考にしてください。
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