【質問と解答】

Q:女性向け漫画でデビューして約1年半の新人です。今回質問させて頂き たいことが2点あります。

 1)デビューした雑誌では読み切りを数回掲載して頂いたのですが、不定期なため、経済的にも不安定です。掲載の仕方も、描く前に「○月号に載せるから 〜」と言われるのではなく、いつも雑誌発売1〜2週間ほど前に突然掲載の連絡があります。
そこで、様々な雑誌で同じ作家さんが描いているのを見て、自分も同ジャンルの他の出版社に持ち込みに行きたいと考えているのですが、まだ新人の立場ですし、そういうことをしても大丈夫なのでしょうか。
もし持ち込みする場合は担当編集さんに許可をとってからの方が良いでしょうか?

 2)また、昨年電子書籍の依頼を別の出版社から頂きました。そこで印税を頂けることはわかったのですが、原稿料の話は特にありませんでした。
依頼を受けた時に、電話で「すぐに原稿料は渡せない」とちらりと聞きましたが、それ以後原稿料のお話は全くなかったので、いつ頂けるのか、何円なのかなどは結局わかりませんでした。
昨年の内に全て原稿は送り、近いうち発売ですが、まだお金は頂いておりません(ちなみに、1話目を送ったのは半年前です)。
それとも、自分が電話を聞き間違えただけで、電子書籍を出す場合には原稿料は頂けないものなのでしょうか。聞きづらくても編集の方にうかがってみるべきでしょうか。



A:1)担当さんとの関係次第でしょう。別に話す義務はありませんが、デビュー前から育ててもらったという意識があなたにあるような関係の編集さんでしたら、経済的な理由も説明した上で話しておいたほうが後々いいと思います。
ですが、単に取引相手といったビジネスライクな関係でしたら事前に断る必要はありません。

 2)電子出版については統一のルールがありません。
電子出版において描き下ろし作品の著者の収入は、「原稿料」と「コンテンツから得られた収益の何%といった著作権使用料としての著者配分」の2種類があります。
そして、コンテンツの配信業者によって前者の「原稿料のみの場合(つまり買い取りということ)」、後者の「収益配分のみの場合」、そして「両者の複合」の3パターンが考えられます。
最後の「両者の複合」とは、たとえば原稿を渡したときに原稿料は支払われるが、収益配分については一定数以上の販売数が出て初めて支払いが生じるといったものです。
また、なお、著者の収益配分は本の印税とは異なります。単行本では、売れようが売れまいが「発売数(刷り部数)×印税率」分の印税が著者に支払われますが、電子出版においてはそもそも刷り部 数という概念がありません。1部も売れなければ著者には1円も入りません。しかも数部程度の販売数では数十円にしかなりませんから振込手数料を下回ってしまいます。ですから振込金額が一定金額以上に達するまで振込がない可能性があります。最悪の場合、販売数が不振で数年経っても振込ゼロということも考えられます。また、印税と違って、仮に著作権使用料が50%と言われても配信用のデータ作成費用や配信料は著者負担となっていて、実質の著者配分はコンテンツの収益の10%以下になる場合もあります。
聞きづらくてもこれはビジネスの話ですから、編集の方にしっかり話を聞いて、契約書もちゃんと取り交わすようにしましょう。


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