【質問と解答】

Q:デジタルでトーンを貼る方法を教えてください。今では多くの漫画家さんがデジタルでトーン貼りをしていると聞きました。トーン代も馬鹿になりませんし、自分も導入してみたいのですが、スキャナーのことやデータ化（？）のこと、編集部への送り方など、最初から最後まで全くわかりません。可能であれば、できる限りのことを教えてください。
　それと、何かそのようなことを手引きしてくれる本などはないでしょうか？




A:デジタルでトーン処理をするなら「Comic Studio 4.0」という漫画制作ソフトがお薦めです。Comic Studioの上位モデルの「Pro」「EX」にはデジタルトーンが1000種類以上収録されていますし、何より漫画制作に特化したソフトなので初心者にも比較的扱いやすいです。なお、Comic Studioでも廉価なエントリーモデルの「Debut」と「Mini」にはトーンが付属しておらず、トーンを使用する際にはトーン素材集を追加購入しないといけないので注意してください。
　「Comic Studio Pro」は25200円（税込）、「Comic Studio EX」は48300円（税込）ですが、初期投資が痛いという方は「12ヵ月ライセンス版」や、Comic Studioの発売元であるセルシス（CELSYS）の運営する創作活動応援サイト「CLIP」でレンタルを利用する手もあります。CLIPでのレンタルは月額1000円からなので、購入前に試用してみたい方にもいいかもしれません。ともあれ、まずはComic Studioの公式サイトの製品仕様を読んで、自分のパソコンがソフトの動作条件を満たしているかどうかを確認しましょう。満たしていない場合はパーツ交換や増設、もしくは買い換えが必要です。
　スキャナーに関してはA３対応のスキャナーが望ましいです。ただ、A４対応の機種に比べるとかなり高額で、原稿スキャンに使える品質のものだと10万以上します。手頃な価格帯のものだとブラザーのA３対応複合機が比較的評判がいいです。プロの漫画家やイラストレーターで使っている方も多いようです。現在の最新機種は「MFC-6890CN」で、2011年４月現在の実売価格は50000円前後にまで下がっていますが、そろそろ新機種が出るようなので、それを待つ手もありますね。
　手引き書に関してですが、この世界はソフトや機材の知識がすぐに古くなってしまうため、良書であってもソフトの最新バージョンに対応しなくなっていたりするので、なかなかこれはというものがありません。とりあえず、ComicStudio 4.0に対応しているということで、『あなたもマンガが描ける ComicStudio 4.0公式ガイド』（アスキー）をお薦めしておきます。入門書ですので初心者にも優しく、ComicStudioの製品付属の解説書と併せて読むのがいいでしょう。
　データの送り方に関しては、投稿者の方は雑誌の新人賞の応募要項に従ってください。指定の保存形式でCD-RやDVD-Rに焼いて出力見本を添えて投稿するのが普通です。プロの場合はファイル転送サービスを利用したり、個人契約したサーバにアップしてダウンロードしてもらったりします。出版社か編集部がアップロード用のサーバを持っていれば便利ですし安全でもあるのでしょうが、持っているところは少ないです。原稿データの保存形式については担当さんに聞いてください。ちなみに、私の所属する編集部では、モノクロの原稿の場合は600dpi以上のTIFF形式、カラー原稿の場合は350dpi〜400dpiのPSD形式（CMYK）を基本としています。

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