【質問と解答】
Q:連載中の新人です。私はデビュー前に絵柄が古いからだめだと担当に言われとても苦労しました。そのため絵柄の古さにとてもコンプレックスを持っています。結局絵柄は変わりませんでしたが運良くデビューでき、読者の反応は「古いけど好感がもてる」という感じで広く受け入れられているような気がします。私の絵柄は見やすく分かりやすくを意識しており、90年代ぽいと言われます。
とはいえ私の漫画は話とキャラのほうが評価されているので、絵をもっと良くしてファンを増やしたいと常々思っており、今の絵柄のよさを保ちつつ新しい魅力的な絵柄にしようと、いろんな漫画を参考に試行錯誤しています。しかし、今風の新しい絵というものは万人受けする分かりやすい絵とは相反するように思え、とても難しいです。絵柄で門戸が狭くなるなら、今の絵柄で話とキャラのよさを多くの人に伝えたいです。
古いけど広く受け入れられている絵柄をどう思われますか? このジレンマを抜け出すアドバイスをいただければうれしいです。
A:担当編集者がいるのでしたら、本来はこのようなことはその方と相談すべきだと思いますよ。過去に絵柄のダメ出しをされたことがしこりになっているのでしょうか。もしそうであったなら、いずれこのことについて向き合って話し合う機会を設けてしこりを解消すべきでしょう。さて、どんな雑誌にどんなジャンルの作品を描いているのかわからないので的を射た回答になるかどうかわかりませんが、私なりの考えを述べておきます。
「古い」と言われる絵柄には2種類あります。ただ古臭いだけの絵柄と、懐かしさや温かみを感じさせる古さです。前者は絵柄を改造するしか生き残るすべはありませんが、後者は作品の雰囲気やキャラクターがマッチしていればその「古さ」を武器にもできます。「古い」と言われるだけで抵抗がある漫画家さんは多いでしょうから具体名は出しませんが、絵柄が基本的には古いにもかかわらず絵柄が重視されるSF&ファンタジー系漫画誌や萌え系4コマ誌等に連載していて人気を博している作品も現にあります。
ところで、あなたの絵柄が古いけれど広く受け入れられているというのは数字的な裏付けがあるのでしょうか? あなたの作品がコミックスのセールスで結果を出せているなら、今の絵柄が作品に良い方向に作用していると考えていいでしょう。ですから、この場合はあなたの悩みは杞憂でしかなく、今後も自信を持って今の絵柄で描いていってください。
しかし、コミックスがまだ発売になっていないのなら判断は保留しなければなりません。大部数雑誌ならば読者の支持がコミックスの売上を左右しますが、少部数雑誌だと雑誌のアンケートはまずまずであっても、それがコミックスのセールスに結びつくとは限りません。つまり、雑誌という狭い世界の中では支持されていても、外の広いマーケットでは通用しないことはままあることなのです。コミックスでの売上の結果が出ず、その要因がやはり絵柄の古さにあるとなった場合は、否応なく絵柄について今後どうしていくか担当さんと話し合わざるをえなくなります。
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