【質問と解答】

Q:1)週刊少年漫画誌で漫画家になるのが夢です。現在21歳でもう少しで22になりますが、賞を取った事がありません。この相談室の回答や他の方々の質問などを参考にして、20代前半までに賞を取らないと少年漫画は諦めたほうが良いという印象が残りましたが、正直めげました。
 具体的に何歳くらいまで受賞しないと諦めた方がいいのでしょう? 大学をちゃんと終わらせたいのですが、24、5歳で受賞というのは遅いでしょうか? 某週刊少年漫画誌の公式サイトを見たら25歳で佳作賞を受賞した方がいたので、一応25歳でも審査対象に入るんですね。僕も今の実力と年齢を考えると25歳までに新人賞を取るのを目標としていますが、20代後半や30代前半でデビューした少年漫画家の前例などありますか? 少年漫画家の夢は死んでも諦めたくありません。しかし僕は、大学(漫画学科)で少なくとも数年間猛勉強しなければ絶対成功しない自信はあります。どうでしょうか。

2)京都のマンガ学部のある大学で漫画を学ぼうと思いますが、地方だと担当がつきにくいでしょうか。もし応募して担当がついたとしても学校をやめざるを得なくなる状況になりますか。あえて京都で漫画を学ぼうというのは、僕は今までアメリカンスクールに通い、大学は現在海外アメリカです。日本で漫画を描く上で、日本人と日本の文化にもっともっと触れ合わなければならないと思っているからです。なので、専門学校ではその大切な学校生活がないので大学なのです。東京の大学にも漫画学科があるところがある事は知っていますが、京都の大学のほうがためになるような気がしているのです。
 
3)このサイトに質問してどのくらいの時間で答えが返ってくるのですか?




A:1)新人賞の投稿は具体的に何歳まででないとダメということははっきり決まっていませんし、各雑誌の応募要項にも書かれていません。各編集部に問い合わせても明確な回答をしてくれないと思いますし、このコーナーでも以前の同様の質問に対する回答以上の答えはできません。各雑誌の新人賞の受賞年齢とその受賞者がその後デビューできたかどうかを自分で調べて判断してください。
 ただ、言っておきたいのは新人賞受賞はデビューとは限らないということです。大賞などの一番上の賞ならともかく佳作や期待賞では先は長いと思ってください。20代後半や30代前半でデビューした方もいるとは思いますが、最初に新人賞を受賞したのはずっと前のはずです。正直、今21歳でいながら25歳で新人賞初受賞を目指すというのは呑気すぎます。週刊少年誌の新人賞は狭き門です。22歳で新人賞を獲るべく死にものぐるいで頑張ってようやく24〜25で賞に入れるかどうかだと考えてください。また、大学をちゃんと卒業してから漫画家になりたいと書いていますが、漫画家になるつもりで大学を選ぶのなら、卒業とプロになることのどちらが大切なのか自明でしょう。大学に行くのは手段であって目的ではないはずです。
 
2)担当がついても大学をやめる必要はありません。しかし、研究や就職のためではなく漫画のために選ぶ大学ならば、アシスタントの口を紹介されてそちらのほうが勉強になると判断したり、万が一在学中に連載を持つ機会があったら、そちらを優先することも考えていいでしょう。前項の回答でも述べましたが、大学に通うのは手段のひとつであって目的ではありません。大学を卒業したからと言って漫画家になれる保証があるわけでも、漫画家になるためのスキルが身につくことが確約されているわけでもないことを肝に銘じておいてください。
 大学にしても専門学校にしてもあくまで学ぶ環境が整えられているにすぎず、結局は個人の努力の積み重ねなのです。大学でマンガ学部に入って講義を受けているからと安心していると、気がついたら4年間経って何も身についていなかったということもありえます。実際にそういう甘い考えを持ってなんとなく学校に通っていた人も多いと、専門学校に通ったことのある漫画家さんから聞きます。大学で漫画の講義を受けるよりプロへの近道が見えたら、迷わずそちらを選ぶべきではないでしょうか。
 大学のマンガ学部やマンガ学科、マンガ専門学校の恵まれた環境でマンガを学べる機会が与えられるならそれを利用していくことはいいと思いますが、定められたカリキュラムに甘んじることなくどんどん作品を描いて投稿することです。そして、できることなら持ち込みをして直に編集者から批評を受けて、これから学んでいかなければならないことを知ることが大切です。それにより、大学で自覚的に学ぶことができるようになり、無自覚に与えられるカリキュラムを消化していくよりずっと伸びていけるでしょう。
 また、日本の普通の高校や大学に通ってこなかったことを気にしているようですが、そのことは漫画を描く上で必ずしもデメリットになるわけではありません。むしろ、アメリカンスクールや海外の大学に通ったことを題材にして日本の学校にしか通ったことがない人には描けない漫画を描けばいいのです。

3)最短で4日、最長で2週間程度でしょうか。回答者は平日は出向先の編集部で通常の編集業務をしているため、週末に自宅でその週きた質問の回答を書いて漫画街の担当者にメールし、校正した上でアップしてもらっています。土日とも仕事が入った場合には、申し訳ないですが翌週に回答を持ち越すことになってしまいます。


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