【質問と解答】

Q:１）新人作家です（コンペも全然通らず仕事もなかなかいただけないので、作家なんていえませんが）。これからの時代、新人はやはりカラーはアナログだけでなく、デジタルも使用できたほうが編集者サイドからすると使える新人なのでしょうか。
　２）僕は本当にほとんどファンレターがきません。アンケートもよくありません。どうすれば人気が出るのでしょうか。自分なりにいろいろ研究したり、編集さんとも打ち合わせをしているのですが、伸び悩んでいます。そろそろいい加減大きく変革しなければ、もうあとがないと正直痛感しています。読者からの反応を得る作品を作るためには、いったいどのような努力をすればよいのでしょうか。そもそもこのような質問をさせていただくこと自体が、人気の出ない理由なんだと思いますが、なにとぞどうぞご指導よろしくお願いいたします。




A:１）１色原稿はともかく、カラーに関しては正直デジタル原稿のほうが編集者としては扱いやすいです。現在の版下はデジタルなので、デザイナーも作業しやすいですし、印刷に関しても色の再現度が高くなります。原稿の管理にも気を遣わなくてすみますし、褪色の心配もありません。
とはいえ、アナログならではの味わいもありますので、アナログを否定するつもりはありません。用途や作品内容によってツールを使い分けられればいいですね。ちなみに私が担当している漫画家さんは、スポーツ物とコメディの２種類の原作を持っているのですが、スポーツ物は勢いのあるタッチで一気に描き上げるためアナログで、コメディのほうは明るくPOPなタッチなのでデジタルで、というふうに使い分けていらっしゃいます。
　２）どんな雑誌で描いているのかわかりませんが、ヤング誌や青年誌だと、どんなに単行本が売れている方でもほとんどファンレターはきませんよ。小学生や女性の読者が多い作品ならばファンレターはたくさん来ますが、中高生以上の男性はファンレターは基本的にほとんど書きません。ファンの声が聞きたければ、ブログを開設してまめに更新していればリアクションも徐々に増えると思います。あとは、担当さんにアンケートハガキのコメント欄で作品に対する書き込みがあったら書き出してもらうよう頼むくらいですね（個人情報に関する管理が厳しくなり、ハガキまるごとコピーというのができなくなったので面倒なのですが）。
　それから最後の質問、「どうすれば人気が出るのか」──日本中の漫画家と編集者が日々悩んでいることですね（笑）。あなたがどんな作品を描いているのかわかりませんから内容や画力・画風以外の面での話をしますと、とにかくまずは「目立つこと」、つまり「印象に残ること」です。内容評価云々の前に、まず読者の目に止まり、読んでもらい、印象に残らなければ話になりません。そのためには、何かひとつでもいいですから連載陣の中でこれは一番というものを持つことです。その一番のものが漫画家としての「武器」ならばベストです。一番可愛く女の子が描けるとか、一番スリリングなアクションシーンが描けるとか、一番泣けるドラマが描ける、とかですね。当然、あなたもすでにその手の「武器」を入れるべく日々努力していると思いますが、それが容易でないこともわかります。
そこで、技術としての「武器」を現状持っていないならば、作品設定で一番になれるものを持ってくるのも手です。たとえば全連載漫画の中でヒロインが一番巨乳とか、主人公が一番変態とかいうのは、読者にはわかりやすいアピールとなりますし、編集者もそれをキャッチにして売り出しやすくなります。そのような話題のネタになるような作品のウリを設けることこそ、読者の反応を引き出す第一歩です。そしてもちろん、読者を自分の土俵に引っ張り込んだあとは、あなた自身の漫画力が問われます。設定や出だしに興味を惹かれて読んでみたけどがっかり‥‥と言われないよう、読者が抱いた期待に応えるべく、作品のウリを最大限に生かす内容に仕上げましょう。

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