【質問と解答】
Q:人生をまっとうに生きたいのなら漫画家なんてならなければいい、目指さなければいい、と親に言われたのですが、あながち間違いではないのですか?
A:年齢が書いてないのですが、おそらく中高生だと考えてお答えします。ご両親の言う「人生をまっとうに生きる」とは、安定した収入のある生活を送ることを指しているのでしょう。この点については確かにもっともで、漫画家に限らず芸能人、ミュージシャン、芸術家、プロスポーツ選手などは、サラリーマンやOLのように安定した収入は望めませんし、将来の保証もありません。ですから、安全な人生設計をしたいならば、普通に就職してサラリーマンやOLになるほうが楽な生き方といえます。もちろん、「安全」「楽」といっても相対的な表現で、会社が倒産したりリストラされたり、仕事や人間関係のトラブルは常にあります。それでも真面目に働いていれば大抵は収入も地位もそれなりに報われます。それにひきかえ、漫画家やミュージシャン、スポーツ選手などはどんなに真面目に頑張っても結果を出せなければ収入を得られません。ですから、ご両親の心配ももっともでしょう。しかし、漫画を描きたい、自分の作品を人に読んでもらいたい、自分の作品でたくさんの人を夢中にさせたい、という衝動・欲求はそうした損得勘定を超えたところにあるものです。
人生が幸福かどうかは、たとえ肉親であっても自分以外の人間には決められません。安全な人生がその人にとって満足と幸せをもたらすとは限りません。力を尽くさないまま夢をあきらめれば、「あの時、漫画を目指していれば」とか「音楽を続けていれば」とか後悔しつつ晩年を迎えることになるかもしれないのです。
あなたがまだ学生であれば、幸い今は社会に出るまでの猶予期間にあるわけです。漫画家になるという夢が大切ならば、その猶予期間のうちにベストを尽くすべきではないでしょうか。中学や高1であせらなくてもいいですから、大学在学中に新人賞を受賞してデビューできれば、少なくとも漫画家として収入を得ていくための道筋は見えてきます。そうした具体的な結果があればご両親への説得材料にもなるでしょう。
自分にできることをすべてやった上で駄目ならばあきらめもつきます。普通に就職したところで、夢を叶えられなかった悔しさはあっても後悔はないはずです。何もしないで簡単に諦められる夢なら、それは捨てても惜しくはない夢です。多少漫画が上手くても、さっさと漫画家は単なる夢想として諦めたほうが無難です。ですが、漫画を描きたい、読んでもらいたいという衝動と欲求を強く持ってるなら、学生のうちに死にものぐるいでデビューを目指してください。ベストを尽くしてそれでもだめなら、自分の才能が及ばなかったと諦めもつき、後悔もないでしょう。
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