【質問と解答】

Q:作家さんの作風には、「連載向き」や「読み切り向き」ということはあるのでしょうか?
 雑誌に何度か読み切りを載せていただいた新人なのですが、いつか連載を取って単行本を出してみたいという目標はあっても、自分が連載モノのような長い話を考えられる気がしませんし、いつか描きたいと暖めているようなネタも全然ありません。ですが、編集部の方からすれば、作家は育って欲しいと思われるものではないかと思います。努力、勉強次第で長編は描けるようになるものなのでしょうか。また、読み切りしか描けない作家もアリなのでしょうか。




A:読み切りでしかできない構成やストーリーにこだわりを持って読み切り専門の作家を目指しているのならいいのですが、長編が描けないからという後ろ向きの姿勢で長編を避け続けるのは感心しません。アンソロジー誌は別として、そもそも定期刊行している漫画雑誌は連載作品の掲載を前提としており、読み切りは新人や外部作家のお披露目や連載に向けてのステップといった意味合いが大きいのです。これは、基本的に単行本だと短編集はあまり重版がかからないことが多く、巻数を重ねることによって前の巻の重版が望める長期連載作品のほうが部数が出るためです。長期連載になれば読者の認知度も高まり、うまくいけば多方面のメディア展開によってさらに部数を伸ばす可能性も出てきます。従って、定期刊行雑誌は必然的に長期連載を核として編集していくことになるのです。
 もちろん、作家の中には短編(読み切りは短編か中編に分類されます)の名手という方もいて、それで単行本の結果も出している方もいます。ホラー、SF、エロなどのように、短編ならではのネタを扱えるジャンルもあります。
 しかし、よほど短編向きのアイデアストックを持っている方でない限り、漫画家生命を長く保ちたいならば長編連載にチャレンジすべきです。長編といっても何も設定やドラマを壮大なものにしなければならないということはありません。毎回読み切り形式の連載も数多くあります。要は、読者にこのキャラクターとは長く付き合ってみたいなと思わせる魅力的なキャラクターを作ることができれば連載はできます。大河ドラマや壮大な人生絵巻を描こうというのでもない限り、必ずしも大きな頭の切り替えは要しません。短編の延長で連載向き企画を考えてもいいのです。あまり構えないで、担当さんと相談しつつ自分に合った形態での連載企画を考えていけばいいでしょう。

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