【質問と解答】
Q:漫画を描く上で何を伝えて描けばいいのか分からなくなりました。2か月ほど前に幼年向け少女マンガ雑誌の持ち込みイベントに参加したのですが、そこで見ていただいた担当さんに「貴方はこの雑誌でどんな漫画を描きたいのですか?」という質問をされ、私なりに回答をしたのですが、「‥‥で、何を伝えたいのですか?」とさらに具体的な回答を迫られました。緊張していたので記憶があやふやですが、その時私は「描いた漫画を通して読者に夢や希望を持ってほしかったり‥‥」といった道徳的な回答をしました。でも、その担当さんはもっと具体的な回答が欲しかったのか、さらに「何を伝えたいですか?」と聞いてきました。私は緊張してさらに頭が回らなくなり、ただ黙ることしか出来ませんでした。それからというもの、一体何を伝えて描けばいいのか全く分からなくなって何も描けなくなってしまいました。
あの時その担当さんはどう答えてほしかったのでしょうか。また漫画で伝えなきゃいけないことは抽象的なものでなく、もっと具体的な事なのでしょうか。
A:正直言うと、悪い持ち込み担当者に当たってしまいましたね。漫画家や漫画家志望者には物怖じしないタイプや弁の立つタイプの方は少ないので、本来であれば持ち込みの方の緊張をほぐしたり、例を挙げて回答を引き出しやすくしたりするものです。まだ持ち込み受けに慣れていない編集者か、意地悪な人間だったのでしょうか。
その担当者がどんな回答を期待していたかはわかりません。ですが私なら、読者にどんな楽しみ方をしてもらいたいか的な回答を期待しますね。それは、未知なる冒険へのワクワク感だったり、初恋のドキドキ感だったり、怖いものみたさのゾクゾク感だったり、あるいはイヤなことなんか頭から吹っ飛ぶくらいにゲラゲラ笑って欲しかったり──そうしたことをあなた自身の言葉で語って欲しい。「夢や希望」という答えも間違ってないのですが、もっと具体的な作品作りへの姿勢を表す言葉が聞きたいです。それを自覚することによって、自分の創作においての優先順位を意識したり、自分の漫画の「武器」が何なのか、何を「武器」として優先して磨くべきなのか確認したり、あるいはその方向性が自分の資質に合っているかどうか省みたりすることができます。漫画創作をしているうち目の前のコンテしか見えなくなり、どう描いていいか、何を描いたらいいのかわからなくなってしまった時、立ち止まってもう一度そういったことを考えてみることが大切です。
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