【質問と解答】
Q:新人漫画家なのですが、担当さんにネームを見ていただくたびに、話の筋が根本から食い違っていることや重要なシークエンスの欠如などを指摘され、それに気付くことのできない自分の能力の無さに愕然としてばかりいます。張り付いて描いているうちに冷静な判断ができなくなってしまうのですが、正直、これは経験を積んだとしても改善できるとは思いがたいです。今は気付いて指摘してくださる担当さんに付いていただけるから良いようなものの、もしそうでなかった場合、自分一人である程度安定したネームを描くことができない状態なのが不安です。「時間を置いて見る」という以外に、客観的な視点でネームを見直せる方法があれば、教えていただきたいです。また、やはり活躍されている漫画家の先生は、そのような大きなミスのあるネームなどは描かれず、最初から完成したネームを描けるのでしょうか。
A:まず、ネームを切る前にプロットは書いていますか? 書いていれば、プロットではドラマの骨格が見えているはずです(それがはっきりしないプロットは書き方が駄目です)。
そのドラマの骨格にエピソードの肉付けをしてネームを切っていくわけですが、骨格を常に頭の隅に置いておけば筋がぶれることはありません。経験を積んだプロの方はそういう訓練ができているわけです。新人の場合はなかなかそうはいかないので、ネームを切る作業の中で時折ネームから目を離し、プロットを読み返してドラマの骨格を再認識するようにしましょう。そうすることで、ネームを俯瞰して見渡すことができ、元々の筋から外れたりキャラクターの言動に矛盾が生じたりすることを回避することができます。設計図通りに作業を進めるというごく当たり前のことが、間違った建物を建てないために最も重要なことなのです。