【質問と解答】

Q: 担当編集者に遠まわし(?)で言われた話の意味が良く分からないのですが、自分がどうすればいいか判断に困っています。こういう場合の編集者の真意を知りたく、同じ「編集者」としてのお立場なら分かると思いましてこちらに質問させていただきました。

 出版社(正確には編集プロダクション)から、TL携帯コミックの描き下ろしと雑誌に毎号16Pほどの作品を載せてもらっているのですが、その携帯配信の仕事のほうが、11月から未定と言われています。その「未定」の意味が良くわかりません。なんでもドコモのそのサイトへ今まであった某印刷所からの予算が出なくなるから、今後は撤退するか作家を12人から8人に減らしてやっていくかを検討中で未定なので、そうなると仕事が減って作家さんには死活問題になるので他社に営業するなりしてください、と春頃言われました。
 企業レベルでの携帯配信のシステムを私が知らないので、この話の意味も良くわかりません。未定と言うのは文字通り未定と言うことで、仕事があるという可能性もあるということなのでしょうか? それとも出版社の決定が未定? それとも私の仕事が未定、つまり仕事が無くなったよということでしょうか? まずここから分らないです。ちなみに8月末のこの時点でも、先日の電話の時にどうなったのか聞いてみたら未定と言われました。さらにこの某印刷所の話が本当のことかどうかわからないのですが、要は理由はどうあれ私という作家がいらないから理由をつけて切ろうとしているという判断で良いのでしょうか? この事を言われた春の時点で、8月分の予定として依頼されていた仕事をキャンセルされたので、そういう印象を受けました。この時、出版社(正確には編プロ)とのかかわりをやめようと思うようになりました。入っていた雑誌の仕事も断わろうかと検討していると、その後一か月して担当編集者を替えると言われたのです。もう辞めるので担当者を引き継がなくてもいいですと私から言ったのですが、結局電話で新しい担当者と話をさせられて、担当を引き継いだことにされました。そうなると私を切ろうとしていないようにも取れますが、今の編プロに不信感を抱くようになった私にしてみれば、むしろ前の担当編集が私との関係を断つために無理やり苦情処理係として研修中の新人の編集者を付けたような印象を受け、辞めるように仕向けているようにも見えます。入ったばっかりで不慣れだと本人が自己紹介したので、新しい担当の人は新人ということなのでしょうが、別のジャンルで編集はしていたので安心して任せてくださいと言われたので、ますます苦情処理の人かと思いました。それで「8月に入っていた仕事もキャンセルされたし、今のこの仕事もすぐキャンセルされるかもしれないし、今後の仕事も保障ないし、キャンセルされたことで信用できなくなったからここでは仕事が続けられない」と言いました。そして、前担当さんには他社の営業も勧められたので、そのとおりにしたいから過去の原稿の返却もお願いしました。そうしたら、すぐキャンセルされていた8月分の仕事を入れてくれて、今後の雑誌の仕事については今年度分まで発注という内容で、スケジュールと依頼書を送ってくれました。原稿が返却できなくてこのようにしたのでもなさそうで、原稿も順次返却されているので安心して仕事をしていたのですが、ここへきて11月以降の携帯配信が未定と言われまして‥‥。こういういきさつがあった上での「未定」の意味が知りたいのです。それで自分の身の振り方が変わってくると思いますので、どうかご回答をよろしくお願いいたします。




A:元担当さんの話を整理すると、編集プロダクションが作品を納入している携帯コミック配信サイトが、出資元の一つである某印刷所の撤退により、規模を縮小して(作家を12人から8人に減らして)運営を継続するか、そのままサイトを閉鎖するかを検討中ということですね。
 「未定」というのはサイトを運営している会社の方針が、未だ運営継続か閉鎖か決まっていないということなのでしょう。あるいは印刷会社に代わる出資元を探している最中なのかもしれません。出資先が見つからなければ、サイトの運営を継続するにしても作家の人員削減、つまり作家12人から8人へのリストラが必要ということです。そこで、あなたの立ち位置ですが、リストラ要員(あまりいい言い方ではありませんが、わかりやすくあえてこう呼びます)には入っていない可能性が高いです。リストラ要員ならば、サイトが継続されようが閉鎖されようが最初から仕事の依頼がありませんから「未定」という言い方はしないでしょう。最悪のケース、つまりサイト閉鎖の場合にその分の仕事がなくなるので他社に営業したほうがいいですよ、とあなたのことを思ってアドバイスしてくれているわけです。サイトが閉鎖されれば受注していた取引がなくなるわけですから編集プロダクションとしても大ダメージなのです。
 ですが、決めるのは運営会社で、コンテンツの納入元でしかない編プロには経営に口出しする権利はないので、結論を待つしかないのが現状なのでしょうね。質問文を読むに、今の編プロさんは作家に対して誠実に対応していると思いますよ。担当替えも単なる業務上の異動で、今の担当さんもこの編プロでは新入社員かもしれませんが他の会社で編集経験があるということなのでしょう。別に普通の担当替えで、右も左もわからない素人に厄介払いをしたということではありません。ともあれ、携帯配信に関しては先行き不透明で今後の情報を待つ必要があり、最悪その分の仕事は減る可能性がありますが、編プロ自体は今後も付き合って問題ない会社だと考えます。