【質問と解答】

Q:私は『ディアスポリス』(漫画:すぎむらしんいち、脚本:リチャード・ウー)や『無限の住人』(沙村広明)などの迫力のある絵柄が好きでよくマネをするのですが、この二者は他方では「線が多くて雑な印象を受ける」と評されることもあるようで、実際編集に携わる方はこういう絵柄を好まない傾向にあると聞きますし、『バクマン。』(原作:大場つぐみ、作画:小畑健)の2巻でも主人公らが担当者にダメ出しをされてる場面があります。線が多くて漫画というよりデッサン画に近い絵でも味のある漫画ってあると思うのですが、例えば新人が編集へ持ち込みに来たとき話や画力は及第点でも「線が多いから」という理由でボツになる、ということはあり得るのでしょうか?




A:『バクマン。』の内容は漫画界に普遍的なものもありますが、作品舞台である「週刊少年ジャンプ」に限定される事柄も多くあります。あなたの質問内容は後者に当たります。実際、ジャンプでは線を整理したすっきりした絵柄でないと受けが悪いでしょうし、程度の差はあれ他の少年週刊誌もそういった傾向はあります(少年週刊誌の中ではチャンピオンが最もその傾向が薄く、ジャンプ、サンデーはその傾向が濃い。マガジンはその中間)。しかし、青年誌になれば、評価される絵柄の幅は広がります。『ディアポリス』が連載されたコミックモーニングも『無限の住人』が連載されたアフタヌーンも青年誌です。すぎむら先生も沙村先生も雑でもなければ下手でもなく、むしろ海外でも評価の高い作家です。しかし、少年誌の読者にはすっきりした画面のほうが見やすい読みやすいというだけの話です。ですから、あなたも読者層や雑誌のカラーをよく見て持ち込み先、投稿先を選んでください。