【質問と解答】
Q:数年前よりフリーでプロ活動をしている者です。一つのテーマを元に作品を作りたく、とある雑誌編集部さんにお世話になっていましたが、ネームが通らず、最終的には「テーマはこのまま、こちらが立てたストーリーと構成で描いてください」と言われました(私は描くだけということです)。しかし、それでは私が描く意味はない気がして、結果お断りすることになりました。断らず進めてそれが評価されても、それは編集部の力で、自分の力だとは思えないのです。もちろん他の編集部などでストーリーやネームの没・修正などはこれまでも何度も経験しましたが、今回のような提示は初めてです。原作付きや企業マンガでしたら分かりますが、作品を作る上で編集部の意図だけで作家に描かせることはあるのでしょうか。編集が望むもの以上を出せなかった自分の力不足が原因だと、言われてしまえばそれまでなのですが。
ずっと描きたかったものですから余計に自分にふがいなさを感じています。
A:編集部から具体的にどういう形での提示をされたのかわかりませんが、あなたが出したネームの設定や構成に難があったために編集部サイドでプロットを出すことにしたという話なら別に珍しいことではありません。「こちらが立てたストーリーや構成で」という言い方ですと、シナリオやネーム原作にして渡すということではないですよね。でしたら、他者から提示されたプロットであっても、そこから面白いネームを切るのは漫画家の力です。ずっと描きたいと温めていた企画ということで100パーセント自分だけでネームを完成させたいこだわりがあったものと思いますが、漫画家と編集者は二人三脚で作品を創っていくものです。あなたが描きたいテーマを汲み取ってそれをより効果的に反映できるプロットを編集者が提示してきたなら、それを上手に自分の創作工程に組み込んでいくのも作品創りの一つの手段だと考えてはいかがでしょうか。