【質問と解答】

Q: 1)視線誘導について、逆Z型にコマを進めるのが基本ですよね。それはわかっているのですが、それ以外では例えばどのようなものがありますか?

  2)自分のストーリーに柔軟性がなく似たり寄ったりな気がします。どんな内容でも作風という言葉でカバーできないくらい似ている気がします。固定観念とかにとらわれすぎていると思うのですが、どうすればいいと思いますか?




A:1)「逆Z字型」「N字型」というのは、右開きの本で縦書きのフキダシネームの漫画を読みやすいコマの流れのルールです。勘違いしているようですが、そのルールそのものが「視線誘導」ではなく、視線誘導とはコマの流れに沿ってストーリーを読ませやすくしたり動きを見せやすくするためのテクニックです。「逆Z字型」や「N字型」にコマを配置しても、コマ内の構図やフキダシ位置が悪いと読者はついついコマ順から目線を飛ばしてしまいます。そうすると、前のコマに戻って読み直すわけですが、そうした小さなストレスでも蓄積されると読みにくい漫画だという印象が残ります。また、先の展開が目に入ると興も削がれますので、面白さも減少します。そうしたことにならないよう、構図、キャラの配置や目線、背景や効果線の角度や向き、フキダシの位置等によって、ストーリーや動きの流れに沿って読みやすくするのが視線誘導の技術です。難しいことを言っているようですが、新人のうちは「自分のネーム、なんか読みにくいな」と感じたときに引っ張り出す知識として頭の隅にとどめておく程度でいいでしょう。また、変形ゴマを使わず、ページあたりの情報量も少ない漫画であれば視線誘導がなくても普通に読めてしまいます。参考にするなら、市販の書籍では『漫画のスキマ』(美術出版社)が図解入りで詳述していますので、読んでみるといいでしょう。

  2)映画を観たり、小説を読んだリして、自分の引き出しにない作風や題材に数多く触れてみましょう。