【質問と解答】

Q:2012年12月6日に「悪役がうまく描けない」という質問をした者です。その節はありがとうございました。その後も結局担当さんに相談してみてもヒントやアドバイスをいただけることもなく、描いていくうちにだんだん自分の視野が狭くなっているのではないかと思い始め、持ち込みを再開して色々な編集さんと会ってお話した結果、別の雑誌でお世話になることにしました。私は読み切り掲載もないデビュー前の新人なのですが、新しい雑誌では連載用のネームを描いてほしいと言われて驚いています。全く実績のない新人が「連載で掲載を目指す」ということは特別不思議なことではないのでしょうか? 正直なところ、自分の漫画はまだ未熟で、とても連載ができるようなレベルに達しているとは思えないのですが‥‥。あと、賞どまりの新人が連載を目指すにあたり、注意すべきことがありましたら教えていただけるとありがたいです。ちなみに、20代前後の男性読者が対象の雑誌で、コメディを描いています。




A:当該雑誌での受賞歴があれば、読み切りを経ずに連載ということは珍しくありませんが、新しい雑誌では受賞歴はないのですよね? だとすると、デビューもしていないのにいきなり連載企画というのはかなりレアなケースだと思います。通常は「新人賞受賞→読み切り掲載→連載」となるわけですが、それはじっくり作家を育成し、その成長を見ながら雑誌掲載の時期を見計らうからです。男性向けの漫画はエロを除けばよほどの人気作家のものでない限り短編集は売れません。また、無名の新人の読み切りというのは雑誌のセールスに貢献するわけでもありませんから、編集部としては商業的な側面からだけ考えるとマイナスです。それでも新人読み切り枠をとるのは、育成のための投資だと考えているからです。ただ、新人増刊というのは赤字運営になりますからどこの編集部でも出せるというわけではありませんし、本誌で新人読み切り枠を増やすには限界がありますから、自ずと読み切り枠は編集部の重点育成対象の新人にほぼ限られてきます。そこから考えると、あなたの場合、「生え抜きの新人のようにじっくり年月をかけて育成はしないけれど、連載企画を提出するチャンスはあげるよ」ということではないでしょうか。質問文にはあなたの年齢は書いていませんが、20代後半以上であるとすれば、投稿者扱いで新人賞に応募させるより作家扱いで連載コンペに出すほうが可能性があると判断したのだと考えられます。1か0かというわけで確かに厳しいですが、あなたにとってある意味わかりやすく、しかも早く結果が出る対応というべきでしょうね。