【質問と解答】

Q:地方在住の飲食店経営、男性です。東京から帰郷してから何回もボツを経験しました。ある元漫画家さんのサイトに「地方に住んでいたら最低50回のボツは覚悟した方がいい」とあり、それはしんどいなと思いました。あと、手塚治虫先生の作品の中に「田舎にいるからボツになるんだ、東京に寄りゃハンデがつくのさ」という台詞がありました。ボツを重ねているうちにかなり作風や絵柄も鍛えられてきたのですが、そういうわけで「田舎でいくら頑張っても不利なものは不利。田舎から東京の大企業に履歴書を送るようなものだ」と思うようになり、田舎で描きつづけるモチベーションが衰えてしまいました。数年後に積立貯金で大学院の英文科に入り直してまた東京に出る予定なので、前述のようなことでそれまで休筆しようと思います。こういうのってどんなものなのでしょうか。




A:自分で決めたことであれば、好きなようにするのがいいと思います。漫画を描く行為は義務ではないですから。ただ、言っておきたいのは地方在住は言い訳にはならないということです。地方在住で50回没になる方は、東京に住んでいても50回没になります。確かに都内や東京近郊に在住していれば、編集者との生の打ち合わせもできますしアシスタントの口も多いですから、技術の向上や業界内でのコネクションの構築に有利です。しかし、それらの利点はあくまで新人賞を受賞して担当がついてからの話です。投稿段階であれば、東京在住も地方在住も有利不利はありません。また、アシスタントをするにしても、他の漫画家さんや編集者との交流にしても、自分自身で積極的に動かなければ降って涌いてきたりはしません。東京に出さえすれば何とかなる的な甘い考えは捨ててください。東京に出れば家賃や生活費を稼ぐためにバイト漬けになる方も大勢います。地方在住のうちに新人賞を獲って、デビューか連載決定を契機に上京することをお勧めします。それでも東京に出ることにメリットがあると考えているのであれば、止めません。結果はどうあれ自分で決めた道であれば、後でやっぱり上京すればよかったと後悔するよりずっといいと思います。しかしその場合でも、東京に出てからどうするかという明確なビジョンは持っておきましょう。