【質問と解答】

Q: 原作者と作画者の関係についてお聞きします。
  1)報酬は5:5が基本でしょうか? もしもどちらかが多くなる場合今までのデータではどちらの方が取り分は多くなるのでしょうか?(お互いは全くの他人だと仮定)

  2)原作者と作画者が仮に報酬が同じ場合、作画にかかる経費は原作者側持ちが基本となるのでしょうか?(インク代、アシスタント代等) 一番ポピュラーな場合と一部例外、そしてその割合を予測で結構ですのでご回答よろしくお願いします。




A: 1)報酬という言葉は漫画では使用しません。まず、原稿料に関しては、原作者と漫画家で分配するのではなく、個別に編集部の規定原稿料が支払われます。つまり、オリジナル作品であろうと原作付きであろうと漫画家の原稿料は一律です。一般の方から見るとオリジナル作品の漫画家のほうが損しているように思えるかもしれませんが、原作付きであろうとオリジナリティーが要求されないわけではなく、また作画に関しては同じ経費と労力がかかるためです。それに、オリジナル要素に関しては次に述べる印税において勘案されます。
 あなたが質問で想定していた報酬とは、単行本印税のことでしょう。ここではわかりやすく、一般的な印税率である10%として説明します。原作者と漫画家はこの10%の印税を分配することになるのですが、書き下ろし原作と小説や脚本などのありものの原作の場合で配分は異なります。書き下ろし原作の場合は、原作者と漫画家の比率は4:6ないし5:5です。つまり、書き下ろし原作付きの漫画家の印税は5〜6%になるわけです。一般的には漫画制作のほうが原作執筆より時間や労力がかかるために前者(4:6)が多いですが、著名原作者と新人漫画家が組む場合は原作者の名前で売り出すため後者(5:5)となります。また、既にある小説や映画・アニメ・ゲームのシナリオをコミカライズする場合は3:7ないし4:6が多いです。ただ、漫画家が新人で原作側がすでに知名度が高い作品、もしくは映像メディア展開が予定されている場合は5:5の比率となることもあります。要するに力関係によって決まるわけです。メディアミックス作品の場合は制作委員会や制作会社が原作者ポジションになるわけですが、漫画家に力量がないとさらに構成(シナリオ原作者)やコンテ(ネーム原作者)を立てる必要が出てくることもあり、そうなると漫画家の印税は3〜4%になるケースもあるようです。

  2)原作者が作画にかかる経費を負担することはありません。