【質問と解答】

Q:出版社と契約書らしきものを交わしていないのに、また担当を紹介されていない中で「ネームを見せてください」ということがあるのでしょうか? 自分はてっきり何かしらお互いの身元をあかすような契約書のようなものを交わしてからネームを見せるなどの話になると思っていたのですが、そういうことがないので。とはいえ、こちら側は出版社の身分はわかるのです。が、こちら側の身分をあかさないままネームを見せるということになっていて少々驚いています(応募の時は名乗らなくていいという仕組みだったので)。昔、盗作された経験があるので、もし今回もそんなことになったらショック過ぎます。こういうやりとりは普通なのか教えてください。もし、普通ではなかった場合、自分はどういう行動をとったらいいのか教えてください。




A:質問文からは状況がよくわかりません。「応募の時は名乗らなくてもいい」というのはペンネームでの新人賞か何かの応募ということでしょうか? また、「担当を紹介されていない」中でネームを求められたということですが、連絡をしてきた編集者が担当のはずですが違うのでしょうか? 「こちら側の身分をあかさないまま」というくだりもわかりません。ペンネームとメールアドレスだけのやりとりということでしょうか? 今の内容では判断し難いので、賞や編集部の実名と詳細な状況を記して再度質問を送ってください。回答公開時には具体名は伏せる、もしくは個別メールで直接あなたに回答します。
 一般的な話をすると、出版社と契約書を交わすのは単行本刊行のときです。同じタイトルでも1巻ずつ個別に出版契約所を交わします。一方で、雑誌掲載時には特に交わさないのが通例です。また、単行本刊行時に出版契約書を交わしたタイトルでも電子出版や海外出版する場合は別に契約書や覚書を交わします。ちなみに、単行本刊行していない読み切り作品でも、電子出版で個別コンテンツとして配信販売する場合(電子出版用描き下ろし含む)は契約書を交わします。話を戻しますと、出版契約書は出版の意志が著者・出版社相互の確認がなされて初めて交わされるものです。企画書やネームの段階ではそれが掲載されるかどうか未定なわけですから、契約書を交わすことはありません。ちなみに雑誌掲載も出版なので、原則から言えば契約書を交わすべきなのでしょうが、それをやるとなると契約件数が膨大なものになるという出版社サイドの事務・管理の問題と、著者サイドにとっても複数の出版社にまたがって発表した読み切りを単行本にまとめる際の枷になるという理由から、特に契約書を交わさないのが通例になっています。