【質問と解答】
Q:新人漫画家です。漫画家としてやっていくにはまだまだ収入の面が心配で、女性で27歳ということもあって年齢も年齢なので、バイトではなく事務職の正社員でかけもちしながら作品をつくっていきたい希望があります。以前に働いていた頃は9時〜17時勤務で、趣味で自費出版の漫画を描ける時間はありましたし、ヘルプのアシスタントにも入ったりしていたので、やれなくもないのではと考えています。ゆくゆく連載など(もしお話がくればですが)いただけたら、会社はやめて、漫画家として腰を据えてやっていきたいのですが、こういった作家はイレギュラーかとは思いますが、私の他にもいらっしゃいますでしょうか。漫画家からは離れたくはないので、働いているからといって編集さんにはご迷惑をおかけしないようにはしていきたいです。前に会社で働いているうちに担当が引き継ぎもなく異動してしまったという知り合いもいたので、心配で投稿させていただきました。
A:事務職の正社員として収入面を安定させつつプロ漫画家として活動したいというのは、あなたの希望としてはわかります。しかし、実際問題として難しいことです。以前に働きながら同人活動やアシスタントをしていたということですが、商業誌でのプロ活動となるとまた別です。商業誌での漫画家活動は趣味的な同人活動にはない責任が生じますし、事務職の仕事のほうも正社員であれば会社の仕事への責任の度合いもバイトよりずっと重くなります。また、それ以前に会社のほうが副業を認めているかどうかも問題になります。会社にしてみれば、商業誌での漫画家活動は副業であり、そちらの活動は業務に支障を来す可能性があるものです。また、漫画家活動のほうでも事務職の仕事時間が安定しているうちは問題ないでしょうが、業務が忙しくなって残業や休日出勤せざるを得ない時期に締め切りが重なると、あなたが想定していた兼業体制は容易に崩れます。そうなると、会社か編集部、あるいは双方に迷惑をかけかねません。そのため、兼業しながら漫画家活動を始めたものの、続かず商業誌での活動を辞めた方は大勢います。安定収入のための仕事選びをする際には、そういった点を踏まえて考えましょう。