【質問と解答】

Q:6年前に少年誌でデビューし、2か月に一度の読み切りを増刊に描いています。本誌連載を目指しているものの、どうもうまくいかない状況が続いています。原稿は、下描き以降10日くらいでペン入れ、背景、仕上げトーンと、自分一人で描いています。正直、デビューした頃よりも体力がなくなり、作業がきつくなってきています。画面の密度は結構描き込みしてありトーンも結構貼っている絵柄だと思われます。アシの経験もかなりあって知っているのですが、今の雑誌の標準的な連載作家の先生は下描き以降5日間くらいで制作し、その間アシスタントを最低3人から7人ほど入れています。そうしたアシスタントを使っている先生方とは比較できないので、自分は手が遅いのか早いのか分かりません。でも、体力が本当になくなってしまって毎回仕上げるのがかなりきついです。こうして芽の出ないアシスタントの雇えない読み切りばかりの才能の無い人間は消えていくのでしょうか。1人で読み切りを仕上げている方は多いと思います。みなさんやはり命がけで毎回しんどくてたまらないのでしょうか。こんなこと言っている時点で自分がだめな原因がよくわかりますが、好きなら睡眠や食事を削ろうが体力がなかろうが机にかじりついて、それが最高に楽しいヤツだけが漫画家になれる、連載をつかめる、それにつきてしまうのでしょうか。




A:増刊で隔月とはいえ定期的に読み切り仕事があるなら、新人漫画家としてはいい方じゃないでしょうか。定期的に読み切り枠をもらえるということは、編集部内でも連載作家候補と見なされているのでしょうし。もっとも、デビュー6年目というのが、悩ましいところではありますが。作画ペースについては、早くはないが遅くもないといったところです。キャリア的に考えて、これ以上劇的に作画時間が短縮することはないでしょう。ですから、対策としてはネームや下描きのペースを上げて作画時間に余裕を持たせるくらいです。
 連載がとれさえすれば、アシスタントを雇って悩みは解決するのでしょうか? 体力がない、作画作業が苦痛ということに関しては解決しないと思いますよ。月刊誌であれば、雇えるのはヘルプで2〜3人まででしょう。制作時間はある程度短縮できるでしょうが、作品制作ペースが倍になることを考えるとあなた自身の負担が減るわけではありません。週刊誌ならなおさらで、アシスタントはレギュラーで大勢雇うにしても下絵を含めた作画作業は3日程度しかないことを考えると体力は必須だということがわかるはずです。まして、作画自体が苦痛になっているようなら、漫画家という仕事自体を考える時期かもしれません。ネームがうまければネーム原作者という道もあります。デビュー6年目で連載経験なしという今、定期的な読み切り仕事があるという編集部内で決して悪い位置にあるわけではありませんが、体力に不安を感じているなら将来について考えるべき時期でしょう。