【質問と解答】
Q:少子化が叫ばれている昨今、漫画界でも市場規模の縮小が懸念されている事でしょう。業界の萎縮を免れるためには、海外市場の開拓は欠かせません。漫画を翻訳する際、縦長のフキダシの中に横文字を入れます。最近、漫画の海外版を見て心が痛みました。縦長のフキダシの中に横文字を無理矢理入れるなんて、なんて残酷なことか!! と。これでは楽しめるものも楽しめないし、売れるものも売れません。そこで現在、漫画家を目指している私は、左綴じの漫画を描こうと思っております。しかし左綴じの漫画を受け付けている新人賞はありません。そこで質問です。現在、出版社の中で左綴じに変更しようとする動きはないのでしょうか?
A:ありません。なぜかというと、横書き文字の吹き出しは日本人の読者にとって読みにくいからです。現在においては漫画の海外市場は日本の国内市場に比べてまだまだ小さいですから、左綴じ・横書き文字にするメリットよりもデメリットのほうが大きいのです。それに海外市場に向けては、日本ほど書店流通が充実していない国が大半ですから電子出版が主流になるはずです。今でも海外向けを考えて書き文字をレイヤーで分けている漫画家はいますが、これからは国内向けの縦書きと海外向けの横書きに合わせて吹き出しの形を変えられるように吹き出しをレイヤーで分けたり、コマの並びを組み替えたりする漫画家が出てくるでしょうね。中国、韓国、台湾などの漫画の台頭を見ると、日本の漫画が今後海外市場を広げていくためにはそうした変化は必要でしょう。そうして電子出版の海外市場が大きくなれば、最初から横書きがデフォルトになる時代がきて国内向けの漫画雑誌も左綴じに移行していくかもしれません。