【質問と解答】

Q:1)以前機会があり、プロの漫画家さんに原稿を見ていただいたところ、担当さんとは真逆の意見が多数あり驚きました。両方ともお互いの意見を全否定していますが、私は両者の意見が納得いき、どちらを参考にすればいいのか悩んでいます。例えば、作風を重くしすぎないために所々コミカルなシーンを入れる。主人公をバトルのシリアスな場面と序盤のコミカルなシーンにも対応できるようにする、完成原稿の主人公は魅力的になっている、ギャグシーンも良い、というのが担当さんの意見です。一方漫画家さんは、コミカルなシーンは完全に漫画の雰囲気をこわしている。主人公もこんな過去があるならこんなコミカルな対応は出来ない。キャラ作りで完全に失敗していると断言できる。こんなネームを作らせるようではこの担当は駄目だ。とのことです。恐らく担当さんは漫画としての面白さ、漫画家さんはキャラや展開の整合性を重視しているのだと思います。どちらの意見も(担当が駄目だという以外は)本当に納得がいくんです。しかしどちらかの意見を参考にすると全く違う作品になってしまうと思います。どうすれば良いでしょうか。

2)1年ほどお世話になっている担当さんに、君には王道の熱血主人公は向いていない。描くとどうしてもうわべだけになってしまい魅力がなくなる。王道の主人公は本当に難しいから描くのはやめた方がいいと言われてしまいました。確かに今まで没になったネームは全て主人公が明るく熱血で、賞を頂いた漫画の主人公はどれも王道からそれて一癖あるような感じでした。自分にとっても、そちらの方が描きやすく相性もいいです。しかし将来的には王道な主人公で王道な話を描きたいと思っていたのでショックです。まだそれを乗り越える努力はしていませんが、見切りをつけて王道主人公はあきらめたほうが良いでしょうか。




A:1)要は、あなたの作品に対して担当さんは面白いと評価し、その漫画家さんは面白くないと評価を下した──その理由はどちらもコミカルなシーンを加えた点で、その是非で評価が分かれたということですね。編集者であってもプロの漫画家であっても個人的な嗜好はあるので、そういうこともあるかと思います。どちらも嗜好はあってもそれぞれの漫画観に基づいた信念に従っての評価ですが、最終的なジャッジは読者によって下されるとしても、読者に向けて発信する前段階ではあなた自身が決めるしかありません。その作品が自分で面白いと思えば担当さんの方針にこれからも従い、実は面白くないと思っていればその漫画家さんのアドバイスした方針に従って作品を描いてみるといいでしょう。ただ、担当さんの方針に従う場合でも、漫画家さんの意見に納得がいくところがあるのであれば、主人公のシリアスな過去と現在のコミカル描写とをつなぐ説得力のあるキャラクターの整合性を追求してください。

2)現時点では王道漫画を描くには力不足ということであって、担当さんも未来永劫不可能とは言っているのではないと思います。焦る必要はありません。今は、現在の自分に合った方法論で漫画を描きつつ、将来力がついてから王道漫画に取り組むといいでしょう。