【質問と解答】

Q:いままで投稿経験がなく、一念発起して本命の出版社へ持ち込むために作品作りをしておりました。昨年の末頃、本命の編集部に行く前に子供の頃憧れていた別の出版社にアドバイスを頂くよい機会と思い、線画の段階のものを出張編集部に持ち込みいたしました。その折、せっかくなのでいくつか回ろうと思い別の青年誌編集部に見て頂いたところ、担当になるので原稿が完成したら持ってくるよう言われました。奇しくも、本命で持って行こうと考えていた編集部と同じ出版社の雑誌でした。その後、その担当さんにメールで相談にのって頂いて完成した原稿が新人賞の佳作を受賞しました。ですが、自分が元々目指していたのは少年誌です。その作品は今の担当さんと作ったものですから他に持って行く事は考えず、そのまま担当さんの雑誌の新人賞に応募したのですが、次は本命の少年誌に挑戦したいと考えます。そのことを担当さんに相談したところ、「どうしてもその雑誌でなければいけないのであれば止めはしませんが、せっかく一歩踏み出したのに、また一からやり直すのは大変ですよ。うちでやっていきながら、それでも考えが変わらないようだったらそこで畑替えをすればよいのでは」とおっしゃいました。軽はずみに持ち込み、青年誌と気づいたのは名刺を頂いてからで、あきらかに自分の浅はかさによるものです。ですが、青年誌でやっていく自信があまりありません。年齢25で様子をみる期間があるとも思えません。また、定職に就きながら描いているため、二つを同時進行するのは難しいです。余計なことを考えずに作るのがデビューへの近道と担当さんは言います。作品はたしかに青年誌寄りで、少年誌の手応えはいまのところありません。少年でなければならない理由は、ルビがふってあり、新書サイズのコミックスであるという点に魅力を感じているためです。また、自分が夢中になったのは少年誌が大半です。自分の中の答えは少年誌に限りなく近いです。ですが担当さんについて頂くのに何年かかるかわかりません。青年誌とちがい、少年誌は一生やっていく中で年齢の上限もあるように思います。それに、今の雑誌は青年誌と言えど古株で、調べれば調べるほど知名度のある雑誌であることがわかりました。周囲には贅沢な悩みと言われます。ですが自分にとっては、これからのモチベーションとして、真剣に考えるべきところと思うのです。担当さんに申し訳なくも、ずるずるとお世話になるよりは、本命へ一からやり直すべきか、それとも自分を過信せず一度つかんだ道を進むべきでしょうか。



A:今は少年誌のほうへは投稿も持ち込みもしたことがないのですよね? であれば、少年誌への手応えがまったくわからない、つまり判断材料が足りない状態で悩んでいることになります。少年誌で描けないのなら漫画家になるつもりはない──というところまで少年誌にこだわっているのであれば最初から答えは出ています。ですが、迷っているのであれば、「少年誌漫画家」でなくとも「漫画家」には未練があるのではないでしょうか。であるならば、判断材料を揃えることが決断のきっかけとなるはずです。少年誌向けの作品を描いて持ち込むか投稿して手応えを探ってください。少年誌で評価が得られるなら、雑誌を鞍替えする決断ができるでしょうし、まったく手応えがないならあきらめもつくでしょう。25という年齢は少年誌に投稿するにはほぼ上限にさしかかっています。また、今の担当さんに次回作を待たせているということもありますから、少年誌への可能性を探るならすぐにでも投稿用の作品を描くべきです。無為に時間を費やせば、今の青年誌も含めてすべての可能性を閉ざしてしまうことを肝に銘じておいてください。  今の担当さんに申し訳ないという気持ちもあるでしょうが、編集者と漫画家と雑誌が変わればそこで縁を切れてしまうというものではありません。少年誌でやっていきながら、何年かして今度は青年誌向けの作品が描いてみたいとなった時に一緒に仕事をする機会もあります。また、同じ出版社なのですから、異動で少年誌の編集部に来てそこでまたあなたの担当になることもありえます。ですから、そこはあまり気にしなくて大丈夫です。