【質問と解答】
Q:担当さんと一緒に少女マンガでデビュー目指し一か月半経ちます。ネームと男性キャラについて質問です。
1)ネームでいつも何度もリテイクもらうのですが、ボツと言われたことがありません。リテイクがあんまり続くと不安になり、新しいのを送ってよいかと尋ねるとOKと言われます。でも、今回の修正分でもいいですよ、とも言われます。なので、ボツの決定権は自分という感じなのです。今はリテイク4度目になるのですが、回数的には2〜3回くらいでOKが出ないネームはボツにしたほうがいいでしょうか?
2)ネームリテイク何度目かに今まで言われてなかった事をいきなり言われました。他の編集の方も見たのかなと思ったのですが、自分の受け持つ卵のネームを他の編集さんと吟味することはありますか?
3)ネームを読んで担当さんが話やキャラについても改変案を提示してくれたりしますが、その通りに描き変えるべきでしょうか? たとえば、明るいヒロインだったのに、「ここはヒロインは引っ込み思案系に変えたほうが読者に共感されます」とかです。
4)「ネーム(セリフ)が多い」とよく言われますが、見開きで3行セリフが2〜3個しか入ってなくても言われてしまいます。文字がいっぱいな少女マンガもたくさんあるのに、さすがに意味がわからなくてとても混乱しています。展開が速いと言われることもあるので、セリフが多く感じられてしまってるのでしょうか?
5)一か月半でまだネームが1本も通っていないなんて遅いんじゃないかと焦っています。担当さんには恐くて聞けないのですが、切られてもおかしくない状態でしょうか?
6)6)「はじめから男性キャラがヒロインのことを好きなのはちょっと…」と言われますが、タブーでしょうか? 男性キャラは物語の途中でヒロインのことを好きになるべきでしょうか?
7)「男性キャラの魅力が足りない」という指摘も受けます。「生活感がなく男子が完璧すぎて面白みが足りない」と言われ、「欠点」を作ってみましたが、今度は「欠点があればいいというものでもない」と言われ、なんだかわけがわからなくなっています。「自分の好きになった男子を思い出して」とも言われましたが、私は女子高あがりで男子と接する機会がありませんでした。結局、アニメや漫画キャラ&ドラマのキャラでキャーキャーするくらいです。どうすれば男性キャラの魅力がアップするのか教えてください。
担当さんと話し合えと言われればそれまでの内容もありますが、話しててもわからないんです。私の理解力のなさがいけないのかもですが。たくさん質問してしまいましたが、よろしくお願いします。
A:1)回数は問題ではありませんが、完成への目処がついていないのであれば目先を変えたほうがいいかもしれません。担当さんも、新しいのを送ってもいいと言っていることから、今の作品にこだわりがない、つまり何が何でも完成させたいという魅力を感じていないということだと思われますから。
2)なくはありません。大きな編集部では3〜5人のチーム(班)制をとっているところもあり、チーム(班)内で互いの手持ちの作家のネームを検討し合ったり共同担当をしたりすることもあります。チーム制をとっていない編集部でも、足踏み状態の新人のネームを同僚の編集者に見せて別の観点から参考意見を貰うということはあります。
3)あなた自身が納得がいったならば変えてください。しかし、変えてしまうとそもそもあなたが描きたかったテーマやキャラクターと違ってしまうとなれば、納得のいくまで担当さんんと話し合うべきでしょう。担当が提示するのはあくまで「案」のひとつです。担当さんの意見は意見として受け止めつつ、自分の作品ですから、自分で改良案を考えましょう。担当さんの言うように今のネームでは読者の共感が得られないのであれば、明るいヒロインという同一性を維持しつつ読者に共感してもらえるような演出なりエピソードの作り方なりを模索してみましょう。
4)ネームが多いというのは数のことではなく、不要なネームが多いということかもしれませんね。演出として言葉にするより絵だけで表現したほうがいいこともありますし、必要以上に説明調な台詞になっていて会話が不自然ということもあります。担当さんにもう一度聞いてみてはいかがでしょうか。
5)早いとは言えませんが、遅すぎるというほどでもありません。心配することはありません。
6)別にタブーでもなんでもありません。男性キャラが初めからヒロインのことが好きな状態で始まっているヒット作もたくさんあります。ただ、現在進行形で男性キャラが恋に落ちる過程を追体験してもらうほうが、読者の共感を得やすいことは確かですので、担当さんが言うことも間違っているわけではありません。とはいえ、話はこうでなくてはいけないと決めつけず、ストーリーの主題やドラマの主眼がどこにあるかによって判断すべきでしょう。
7)過去あなたが夢中になったアニメや漫画の男性キャラはどこに魅力があったのか、よく分析してみましょう。もちろんビジュアルによる割合は大きいでしょうが、あなたを夢中にまでさせた理由はそれでけではないはずです。完璧キャラは憧れの対象にはなりますが、ヒロインにとって手の届く恋の対象になるためには、共感や親近感が必要です。遠い人だと思っていたのにこんなところは私と同じだとか、いつもはあんなにすごい人なのにこんなに可愛いところがとか、ヒロインにとって心の距離が近づくきっかけが憧れが恋に変わる瞬間となります。クールな美形なのに実はドジとか、もてもてイケメンなのに隠れオタクとか、王子様キャラなのにB級グルメ食いしん坊キャラとか、質実剛健キャラなのにケーキ作りが趣味とか、欠点とかキャップはヒロインが男性キャラに共感や親しみを持つためのエピソードと結びつけることによってキャラの魅力となります。