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【質問と解答】
Q:連載作家というのはネームにどれだけリテイクをくらうものなのですか?(大御所さんは抜きにして教えてください) 私は1年ほど前から短ページの連載を持っているのですが、リテイクの回数が尋常ではなく、正直まいってしまっています。具体的にどう直せばいいという指示も無く、「なんか面白くない。なんだろうなぁ、う~ん‥‥」と言われ、全ページ没となる場合もあります。結果として毎月掲載枚数の3倍程度のネームを描いている状態が続いています。短いページ数ですので生活費の面でこれだけに時間を割くわけにもいきませんし、時間的にも追い詰められ休息が取れません。締め切り3日前に全ページ没を言い渡されて具体的な道筋も示さず、原稿を落としたら作家のせいになるなんて、漫画家=下請けだとしてもあんまりではないですか? この状況を立て直したいのですが、どうすればよいでしょうか? 担当さんはちょっとヒステリックなところがあり、こちらからの対等な物言いに反発するところがあるため(例えば要点をすっきりさせるためメールでの打ち合わせを提案しましたが、時間が掛かると立腹されました)、上手いやり方を教えて欲しいです。
A:作品がどういう内容かわかりませんが、ショート、4コマ、1話読み切り形式の連載ならば、修正の指示なしで全ボツというのも普通にあります。ネタ自体がダメで、部分修正や構成を変えるだけではどうしようもない場合ですね。リテイクの分量ですが、掲載ページの3倍くらい新人ならごく普通です。週刊連載の大人気作家でも全ボツはありますよ。もっとも第一線で描いている方は、担当に提出する前に自分で2〜3倍枚数くらいのリテイクはしますから、初稿でもそこまでお粗末なネームを出してくることはまれです。それはプロとして下手なものは出せないという意識が、作品の品質管理に向かうためです。読者に一度「コイツの漫画つまんねー」となめられたら、その印象を覆すことが大変です。適当に流して描いた連載がコミックスになって売れ行きがよくなかったら、次にどんな面白い作品を描こうと数字だけを見る出版社の販売部は前のコミックスの販売数に準じた部数しか出してくれません。その結果、世に知られることなく埋もれた傑作はたくさんあるでしょう。漫画家は自分の作品が顔なのですから、連載の1話1話が生き残りをかけた勝負なのです。そこで自分の味方である担当編集さえ納得させられないネームを出してリテイクの回数を気にするようでは、プロとしての意識を疑わざるを得ません。連載作家ということで厳しい言い方をしましたが、新人のうちから作品の品質に妥協して効率だけを追求していては先がありません。確かに担当編集にも多少問題がありそうですが、それ以前に「今度こそネームを初稿でOKさせてやるぞ!」という気概と覚悟を持って作品に臨んでください。