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【質問と解答】
Q:漫画専門学校へ通い漫画家を目指している者です。私は、設定やキャラ・ネタなどが他の作品と被ってしまうことを過剰に恐れてしまっている気がするのです。他の作品と少しでも内容が被っていたりすると不安になり、どうにかして絶対被らないようにしようと思ってしまいますが、私の力だといい作品なんてできません。「少しでも被ってしまうのは仕方ない」「ストーリーが違うのだから大丈夫」と自分に言い聞かせているのですが、これを投稿する、他の人に見せる‥‥となると「パクリと思われてしまうかもしれない」など気持ちが出てきて描くことができないのです。現在、学校の課題で漫画を一つ描いているのですが、他の作品と設定が思いっきり被っており、どうしようか迷っています。あまりにも似てしまうのは駄目なことだとは思いますが、今のように少し被るだけでビクビクしているようだと描きたい漫画も描けないし、プロにだってなれないような気がします。長くなりましたが、このような気持ちは捨てないとプロになるには難しいでしょうか? また、設定・世界観は被っているけどストーリーが違う──このような場合はパクリとなりますか?
A:類似の設定や世界観、キャラ、ネタを見つけると馬鹿の一つ覚えのようにパクリパクリと囃し立てる昨今のネットの風潮は、非常に愚かしいことです。そう言っている人は、自分の乏しい知識や鑑賞体験と照らし合わせて、その中でたまたま類似を見つけてはパクリと言っているわけですが(時間ループものなど)、実は世の中にはジャンルと呼っていいほど類似の作品がたくさんあったりもします。ジャンルやスタイルになるほど同系統の作品が増えると、それはパクリとは呼ばれなくなります。「高校野球を題材にして主人公がピッチャーでチームと甲子園を目指す」といった作品はたくさんありますが、題材やキャラの設定・目標が同じであることをもってパクリとは誰も言わないでしょう。つまり、悪意ある盗用を意図した明らかな盗作を除けば、パクリと呼ぶのは個々人の主観であり、その境界は曖昧なものでしかないのです。ですから、自分が盗用ではないという自信を持って描いた作品であれば、周囲の雑音に惑わされる必要はありません。 ただし、プロを目指すのであれば作品評価という別の側面もあります。確かに設定・世界観が被っていてもストーリーが違えばパクリではないのですが、結末に関わる大ネタが同じであったり、他に目立った作品のウリがなかったりすれば、それを読む人に既成作品の劣化コピーという印象を与えてしまいます。既成作品と被るところがあったとしても、それを問われないくらい大ネタの解決方法にオリジナリティーを持たせたり、ネタとドラマとの融合が巧みであったり、もしくは別に大きなウリを作るように心がけましょう。