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【質問と解答】
Q:随分前に担当さんが変わりました。前の担当さんにはキャラはいいと言っていただいたのですが、今の担当さんには逆にキャラが弱いと言われ、その練習の為にキャラ中心の話を作ることになりました。私は今まではどちらかというとストーリー重視で作品を作っていました。もちろん連載を目指すにはキャラ物を練習するのも大切だとわかっているのですが、私は読む側としてもキャラ物の読み切りがあまり好きではなくストーリーがしっかりした作品のほうが好きなので、いまいちピンときませんでした。それでもそのやり方でネームを描き、担当さんのOKも出て会議にかけていただいたところ、「ストーリーに沿って描いた前作のほうがキャラもいいし、話もまとまっていて面白かった」と没になりました。そして次作は、キャラを立てるために設定でごまかさないようファンタジー要素ゼロのものを描くことになりました。ですが、正直私が好きな作品は現代ファンタジーが多く、そういった要素のない漫画はほとんど読んだことすらないような状態です。これも練習と思って取り組んでいますが、好きではないものを描くのは正直辛いです。担当さんはとても良い方で感謝しているのですが、もしかしたら合ってないのでは、と不安を感じています。ただ引き継いで担当になってくださった方ですし、私も読み切りデビューをした程度の新人ということもあり、あまり自分の意見ばかり言っていると切られてしまうのではないか、また商業誌で描く以上好きに描けなくて当然ではという思いもあり、なかなか切り出せずにいます。他の編集部への持ち込みは、年齢的に20代後半に差し掛かっており、少年誌志望としては厳しいのではと思っております。現在非常に混乱しており、今までは長くても2日ほどで切っていたネームも一週間でなんとか描いている状態です。やはり好きではないものも練習で描くことはありますか? このような状況の時どうしたらいいのか、アドバイスいただけると嬉しいです。
A:別に描きたいものがあるのに嫌々ネームを切っているようでしたらモチベーションも上がりませんし、面白いものを描けるとも思えません。確かに商業誌では好き勝手に独りよがりに描くわけにはいかず、読者や雑誌のカラーを意識して描くことが求められますが、今の状況はそうしたものとは異なります。担当さんの方針に納得していないのであれば、自分が納得するまで担当さんの意図を聞き出すことです。そして、それでも納得がいかなければ、自分の描きたいもの、表現したいものをちゃんと担当さんに訴えて方針を擦り合わせることです。漫画にはキャラクターもストーリーもどちらも大切で不可分なものです。ただ、目指す作品のイメージによってその比重は少しずつ異なります。担当さんの想定するあなたの作品のイメージと、あなた自身の目指す作品のイメージが異なるなら、早めにイメージの合一を図らなければなりません。でなければ、作家と編集者が二人三脚で作品を作り上げていくことはできません。あなたのすべきことは、担当さんとちゃんとコミュニケーションをとることです。担当さんの方針を黙って受け入れていれば、担当さんはあなたがそれに納得しているものとして指導を進めます。担当さんの機嫌を損ねることを恐れる気持ちもわかりますが、今のままではいずれ深刻なスランプに陥るでしょうし、ネームが遅くなっていることですでにその兆候が出ています。担当さんが良い方だという印象が確かなら、ちゃんと話を聞いてくれるでしょうから、思い切って自分の悩みと目指す方向性を訴えてみましょう。