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【質問と解答】
Q:1)理想ばかりが先行して実力が追いつけずどんどん絵が描けなくなってきています。どうすればいいでしょう? 恐らく「描け」の一言に尽きると思います、しかし僕は自他共に認める程、理想が高くその理想に届かない絵を描けば描くだけ辛くなってしまいます。これを見れば多くの人が僕には漫画家という職業に向いていないと思うかもしれませんが、宜しければ「漫画家を目指す僕」にアドバイスをください。
2)少年漫画家を目指しているのですが、数人の知人が僕の絵を見て「お前の描く男キャラは老けて見える」と言います。これは少年漫画を描く上で致命傷ですか?
3)編集の人は主にどこを見て伸び代を判断しますか?
A:1)自分が特別理想が高いと思っていませんか? 本気でプロを目指して描いている人間は皆、理想は高いのです。理想と現実のギャップに苦しみながらも、今の自分の持てる力を最大限に出して作品を1作1作仕上げる人間だけが成長できるのです。理想の絵が描けるようになるまで作品を描かないという人は、一生1作も作品を完成させられません。自分で下手だ、まだまだだと思っていても、最後まで放り出さず作品を仕上げましょう。そうして完成させた作品は、理想からすれば稚拙に思えようと愛着が湧くはずです。その愛着は次の作品への情熱へと繋がっていきます。その積み重ねの中で、気が付いたら過去の自分の理想を追い越しているものです。ですが、今の理想には決して追いつくことはないのかもしれません。向上心のある漫画家は、どんなにヒット作家になっても常にもっと上へ上へと理想を追い続けているのを見ていますから。
2)描く漫画の内容によります。 ただ、普通の学園を舞台にして、一般的な少年の目線で描く作品であれば、キャラが設定の歳相応に見えるということは大切でしょうね。
3)私個人の考えでよければお答えします。まず、魅力のある絵柄かどうか。これは上手いかそうでないかというものとは別の基準です。次に、原稿を丁寧に仕上げているかどうか。描き飛ばした線だったり、ディテールが適当だったり、タッチの入れ方やトーンの貼り方が雑だったり等々──そういう方は絵のセンスがあっても何作描いても上達しません。これは漫画を描く上での心構えがちゃんとしているかどうかの問題ですね。そして、台詞回しや会話のセンスがあるかどうか。ネームでのオリジナリティーはここに現れます。
2番目は心構えの問題です。一方、絵柄と台詞回しについては、努力次第で磨くことはできますが、基本的には資質と言っていいでしょう。このどちらか一つでも持っていて2番目の心構えを満たしていればプロになれると断言してもいいです。