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【質問と解答】
Q:2年目のTL漫画家です。とあるウェブ会社で新人デビューをして短編を描かせていただいていましたが、事情があってそのウェブ会社から離れることとなりました。オファーも何件かきているので、来年からは連載作品にもチャレンジしていく予定でいますが、不安に感じていることがひとつあります。前の会社の担当編集さんとは仕事の相性がよく、足りないところを的確に判断して指示をいただいていたのですが、今の会社の担当編集さんは、私を信頼していただいているのか、あまり直しがなくスムーズに描かせていただいています。そのこと自体はありがたいのですが、私は自分に構成力が欠けていると自負しています。編集者がネームにOKを出しても、描いている途中で「本当にこれでいいのか」と迷いが出てしまい、半ば無理やり仕上げている感覚があります。お話はいちおう作れてはいるのですが、話の筋がよくわからなくなっている気がします。今の担当さんに相談しても、「気にしすぎですよ!! とてもよいです!」と言われるだけで、深いところまで追及ができません。メールでのやりとりでも距離感を感じるので、たぶんあまり作家に近づきすぎないで応対する方のようで、ちゃんと指摘はあるものの深いとこまではくいつけません。自分はビシバシ忠告を受けても、成長できればと思っているのですが、なかなか思ったような指導をしてくれません。作家のほうはどんどんネームやアイデアを出していき、編集からの指摘があればその都度直して構成を固めていく、というのが作家と編集のありかただと思っています。前の担当さんや、私がコンペに挑戦していたときについていた編集さんからは恋愛漫画における大切なことをたくさん教えていただきました。今のままだと、構成力は乏しいままに私の出した漫画をセリフや絵柄を整えてもらうだけな気がしています。今の担当さんは決してやる気がない方ではないのですが、いつも褒められるだけで、不安になってしまう一方です。他社を含めて様々な編集さんと仕事をしてみるほうがよいでしょうか?
A:2015年6月17日に質問をいただいた方ですね。質問内容の主旨は変わっていませんので、前回と同じ回答を返させてもらうしかありません。デビューから手取り足取り教えてもらって付き合いの長い編集者と、ある程度のキャリアも実績もあるプロ漫画家として付き合い始めたばかりの編集者とでは対応も距離感も異なるのは当然です。仕事仲間としての関係はこれから双方が共に築いていくべきものです。当然ながら担当さんの側もそうですが、ひとりの社会人としてあなたのほうもうまく一緒に仕事をしていけるよう歩み寄っていかなければなりません。また、「構成力がないとい自負している」と言っていますが、それは謙虚なのではなく、甘えや開き直りです。2年もプロとして何本も仕事をしてきて新人扱いしてくださいというのはありえません。プロとしての自覚を持ち、自分の作品には自分で責任を持つべきです。もちろん、編集者はそうした作家をサポートし、時には二人三脚で作品作りをする存在ですが、編集に頼り切る甘えた意識は捨てる頃合いでしょう。それに、前の担当さんに厳しい指導を受けて、2年間プロとして継続的に仕事をしてきたのであれば、普通なら構成力は身についていていいはずです。それが身についていないのなら、今まで正解を教えられるままに直しているだけで、どうしてその正解に至るのかを考えることを怠っていたということではないでしょうか。問題集の解答ページを丸写しして、「勉強しました!」という学生のようなものです。今からでもシナリオ(脚本)術、映画論、演劇論の本を読んで勉強してください。前の担当さんが言っていたことはこういうことだったんだなと気づけば、本当の意味でようやく指導された内容を理解したと言えるでしょう。