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【質問と解答】
Q:雑誌で描かせてもらっていてまだ単行本はでていない位の者です。編集さんとの距離感についてなのですが雑誌で描いてから今まで担当さんを含め複数の編集さんとやりとりをしました。接した全ての編集さんや編集長さんのアドバイスは正しく、実行すれば実力が上昇が感じられ、編集者さんたちの優秀さを疑った事はありません。ですが同時に全ての編集さんに作家と付き合う事の疲労のようなものを感じました。皆さんとても優しく、自分が直接何か言われたことはないのですが、ほんの一瞬だけ、ともすれば見逃してしまうような表情や誰かを評価する何気ない言葉に出てくる呆れのようなものがあるのです、悪意では無く呆れのようなものです。私は、ネームを始めてから原稿完成まで作業が予定通りに終わったことがないので、そうしたことが編集さんへ疲労感や呆れの原因になっているだろうと察せられます。サボって遅れているわけでもないしどうしようもないのだけれども、編集さんにとっては迷惑な存在かもと考えてしまいます。そのうち、こちらも迷惑をかけたいわけではないし、同人誌でも描いていたほうが良いんじゃないか、と思うようになりました。編集さんの的確で親身なアドバイスや楽しい雑談の後のほんの一瞬のドライで何か呆れのような表情が見える時、人に我慢させたり、思ってもない事を言わせたり、迷惑をかけてまで漫画を描くのが何だかとても苦しいのです。私はどうしたらよいでしょうか?
A:いろいろ考えすぎなのではないかと思います。あなたが感じている呆れのような表情というのは、そのほとんどがあなた自身の疑心暗鬼からくる錯覚ではないでしょうか。もちろん、すべてが錯覚とはいいません。疑心暗鬼が生まれる素地というものはあるはずです。いつも原稿が遅れていることへの後ろめたさがあなた自身にあるでしょうし、編集者の側も原稿が遅れた時には呆れたり厳しい言葉を吐いたりするでしょう。しかし、編集者が締め切りに対して厳しい態度をとるのは、作品担当一人が迷惑をかけられるからではありません。1本の原稿が遅れることで、校了担当者、製版所、印刷所の多くの人たちに残業や休日出勤を強いたりすることもあるためです。それに、原稿の遅れが許されているのは締め切りをちゃんと守っている同業の掲載陣あってのことです。ですから、自分は頑張っているのだから、それでも原稿が遅れるのは仕方がないだろうという開き直りはしないで、締め切りに間に合わせる努力はし続けてください。そして、原稿が遅れた時に担当編集者があなたに見せる呆れたり怒ったりの感情は、打ち合わせや打ち上げ時に引きずったりはしていないと考えます。もし引きずるほどどうしようもない作家だと思われていたら、以降の仕事を依頼することはありませんから。