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新人マンガ家相談室

【質問と解答】

Q:どんなにたくさん話を作っても過去に描いてきた漫画と似通ってしまいます。同じ人間が描いているのだからキャラやストーリー構成などの好みが偏ってきてしまうし、長く描いていれば作風が固まってきてしまうので、どこかしら似た部分があるのは必然かと思います。ただ、作風が固まったからという理由だけでは納得しづらい気持ちがあって、せっかくいいネタがあっても、「これは過去のあの作品と重なって見えるからボツ!」となってしまいます。プロの作家にも毎回似た雰囲気のものを作る人はいますが、こういう気持ちは感じているのでしょうか? どうやって克服してきたのでしょうか?参考までに教えてください。

A:同じ作家であれば作風が同じなのは当たり前で、それがその作家の個性でしょう。同タイプのキャラや同じ題材を使っても、より良い作品が描ける可能性があるなら、チャレンジすることに意味はあるでしょう。野球漫画や学園恋愛漫画を何十本も描いている作家がいますが、彼ら彼女らの中ではこれ以上のものはもう描けないという到達点に届いたという意識も、このジャンルで描きたいものは描き尽くしたという意識もないのでしょう。彼ら彼女らは違ったものを求めるよりもひとつのものを掘り下げることに創作意欲を傾けるのです。しかし、あなたがそうした作家と異なり、自身の中でキャラや題材が似通ってしまうことに納得がいかないのであれば、自分の外から持ってくることで引き出しを増やしてくるしかありません。映画や小説、身の回りの人物や実際の出来事、歴史資料等々、取材先は世の中に無限にあります。たかだか20年ほどの経験値しかない自身の中のストックをこねくり回しても、似たものしか作れなくなって当然です。常に新たな引き出しを増やし続けることが大切です。また、作風にしても、そこに限界を感じているなら、他作品・他作家にインスパイアされて新たな作風を生み出すことも可能です。掘り下げるか、広げるか、転進するか──漫画家としての進化の仕方にはいろいろありますが、いずれにせよ進化のためには自分の引き出しを増やしましょう。